ニュージーランド・ミルフォード・トラック
New Zealand - Milford Track
2008年3月1日〜9日
◆◆ Track Day 2 ◆◆
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■トラック・コースマップ
■計画編
月日 概要日程
3月1日(晴) 成田〜(国際線, 11時間半)〜クライストチャーチ
3月2日(雨) クライストチャーチ -> クイーンズタウン(国内線, 1時間)
3月3日(晴) Day 1 クイーンズタウン〜(バス)〜テアナウ・ダウンズ〜(船)〜グレイドワーフ〜(徒歩1.2km)〜グレイドハウス
3月4日(晴) Day 2 グレイドハウス〜(徒歩16.1km)〜ポンポローナロッジ
3月5日(晴) Day 3 ポンポローナロッジ〜(徒歩14.9km)〜クィンティンロッジ
3月6日(晴) Day 4 クィンティンロッジ〜(徒歩21.8km)〜サンドフライポイント〜(船)〜マイターピークロッジ
3月7日(雨) Day 5 マイターピークロッジ〜波止場〜(船でクルーズ)〜波止場〜(バス)〜クイーンズタウン
3月8日(晴) クイーンズタウン〜(国内線, 1時間45分)〜オークランド
3月9日(晴) オークランド〜(国際線, 11時間10分)〜成田
■3月4日 (Track Day 2) コースタイム
起床 06:45, 朝食 07:50, グレイドハウス(1.2km)発 08:40〜ブナの巨木(3km) 09:08〜マッキンノン2マイルハット 09:13〜
Wetland Walkway 09:30〜クリントンハット(4.8km) 09:58〜North Branch(7km) 10:55〜ヒレレ滝ハット(11.9km, 昼食)
12:22/12:54〜ヒデュン湖 13:19〜プレイリー湖 14:00〜バスストップ 14:44〜ポンポローナロッジ(17.3km) 14:54着
18:15〜翌日のコース説明会、19:00〜夕食、22:00 消灯
 憧れの地に足を踏み入れた興奮からか、夜中に幾度も目をさましてしまい、4時間位しか眠れなかった(苦笑)。今日の起床は6時45分、ロッジの自家発電機が稼働すると同時に、部屋に電気が供給される。

 急いで顔を洗い、食堂に向かう。まずは暖かいコーヒーを飲み、落ち着いた所でランチのサンドイッチ作りだ。

Morning view (07:41)
 
グレイドハウスからの朝の景色 (08:06)
Morning view from the Glade House
ランチ用のサンドイッチを作る場所 (07:51)
Making sandwich for lunch
 パン、ハム、レタス、チーズ、サラミ、ジャム、バターなどの食材が置かれており、自分好みのサンドイッチを作ることができる。出来たものをラップすれば、サンドイッチ作りは完成だ。リンゴ、オレンジ、干しぶどうなどの間食類も置かれているので、好きなだけ取って良い。

 7時50分から朝食を取る。コーンフレーク、トースト、スクランブルエッグなどが揃えられている。日本のおじやのようなモノがあり、皆さん、美味しそうに食べているので、僕もお皿に取りて食べてみたが、何の味もせず、メチャクチャ不味かった(苦笑)。残すのも失礼かと思って我慢して食べたが、完食はできなかった。

 8時半に出発なので、あまりのんびりしている時間もない。部屋に帰って出発の準備だ。外を見ると、霧が立ち込めて、幻想的な景色が広がっていた。

 外は青空が広がっているので、今日も昨日に引き続いての晴天だ。1年のうち、180日は雨が降っている地なのに、なんてラッキーなんだろう。  
 ロッジの前では準備ができた人から次々に出発している。このガイドウォークでは4人のガイドがいるが、先頭と最後尾にそれぞれ一人のガイドが歩いている。他の二人のガイドはその間に入って適当に歩いたり、途中、決められた小屋で、暖かい飲み物などを入れてくれる。

 ガイドウォークといってもガイドが引率する訳ではなく、参加者はあくまで自分のペースでに歩くことができるのだ。もちろん、頼めば、色々な説明はしてくれるが、決して押しつけはしない。ようするに、個人の考えが尊重された、なかなか洗練されたシステムなのだ。

 僕が背負っている荷物は、15kg位の重量になっており、背負った時、ズッシリと肩にくる感じだった。ちょっと重いかな〜、もう少し荷物を厳選してくればよかったと後悔していたが、今となってはどうしようもない。今日から3日間、背負って歩くしかないと諦めていた。
クリントン川にかかる吊り橋 (08:41)
Swing Bridge at Clinton River
吊り橋からのグレイドハウス全景 (08:45)
Glade House from the swing bridge
 日本人ガイドのヒロに荷物を持ってもらうと、「う〜ん、少し重たいね。要らない荷物があったら、最終日に泊まるマイターピークロッジまで回送できるよ」という。へ〜、ここから回送してくれるとは思わなかったので、不必要な荷物をあわてて取り出し、ヒロに託した。

 そんなことで、出発が10分ほど遅れてしまったが、8時40分にグレイドハウスを出発した。辺りはまだ薄暗い。温度計は持っていないが、おそらく、朝の気温は4〜5℃位だろう。清々しくてとても気持ちの良い朝だ。

 出発して直ぐ、クリントン川に架かる吊り橋を渡る。吊り橋からグレイドハウスを振り返ると、なかなか幻想的な風景が広がっていた。
 吊り橋を渡り10分ほど歩くと、前方に、木々の影から荒々しい岩山が顔を覗かせた。オーッ! 思わず、声を出してしまう。

 クリントン川がたたえる水の色は、見事なエメラルドグリーンで、まるで宝石を見ているようである。

Clinton River
2km付近からの前方の景色 (08:55)
View from the 2km point
マッキンノン2マイル小屋跡地を示すマーカー (09:13)
Mackinnon's Two Mile Hut
 9時に3km地点に到着した。ここには1889年に建てられたマッキンノン2マイル小屋があった場所だ。現在はその建物は無く、当時の痕跡を示す案内板が残っているだけだ。また、ここからほんの少し道を逸れると、ブナの大木があるそうなので、荷物をコース上に置き、見に行くことにした。コースを外れる時は、必ず荷物をコース上に置いておくようにガイドから指示されているからだ。

 ブナの木は、直径が1.5m、推定樹齢600年以上とのこと。確かにこんな大きなブナの木は見たことがない。

ブナの大木 Red beech tree
 
 コース上に戻り、荷物を背負おうとすると、ザックの横の茂みでガサガサと音がした。ちょっとビックリしたが、良く見ると、可愛い小鳥(ブッシュロビン)だった。まったく逃げようとせず、逆に人間のほうに近寄ってくるではないか。

 これにはさすがに驚いた。日本で野鳥がこのような振る舞いをすることなどあり得ない。後で聞いた所では、この地域は昔から鳥の天敵がいない為、人間を警戒するという能力が必要ない為だとか。へ〜、まったくビックリである。

 ロビンは、チョコチョコと飛び跳ねながら近寄ってくるので、とても可愛らしい鳥だ。
サウスアイランド・ブッシュロビン (09:10)
South Island Bush Robin
ウェットランド・ウォークウェイ (09:29)
The Wetland Walkway
 4kmの少し手前で、ウェットランド・ウォークウェイへの案内板が現れる。再び、荷物をコース上に置いて、コース左手の道を5〜6分進むと、木で出来た道が現れ、さらに2〜3分進むと、展望の良い場所に出る。この辺り一帯は湿地帯になっており、見事なコケの群生が見られる。正面にはセンチネル山の雄大な姿と、さらに奥に氷河をたたえた山並みを観ることができる。

Boardwalk
 4km地点を過ぎると、左手にクリントン小屋を示す案内板が現れる。この小屋はガイドを雇わないIndependent Walkerの為の宿で、無人小屋だ。水洗トイレも完備している。また、少し離れた所に、ヘリの離発着場もあった。

Clinton Hut
クリントン小屋 (09:57)
Clinton Hut
葉の形を変える不思議な木 (10:20)
 このトラックを歩いていると、日本では見かけない様々な草木に遭遇する。そのうちの一つが左の木だ。名前を聞いたがが忘れてしまった(苦笑)。

 木の背丈が2m位までは、とても木の葉とは思えないようなトゲを持った形をした葉を付けており、それ以上に背が伸びると、普通の木の葉の形に変化する。写真の上のほうを良く見てもらうと、その様子がお判り頂けると思う。

 理由は、木がある程度の大きさに成長するまでは、森の小動物などに食べられたり、倒されたりする危険性がある為、このような生態系に進化したそうだ。なんとも不思議な木だ。

小さい時の葉
 7.5km付近にさしかかると、クリントン川が北と西の2つの支流に分かれる。トラックのルートは西側の支流を遡ることになる。

 クリントン川は、上流に行くに従って、更に透明度を増し、まさにエメラルドを見ているような光景である。

Clinton River
クリントン川・北側支流 (10:55)
Clinton River North Branch
8km付近の道の景色 (11:27)
View of the track around 8km
 ノースブランチを右手に見て、更に先に進むと、もの凄い量のコケで覆われた木々が現れる。歩道両側にもコケがビッシリと生え、あたかも芝生で造られた庭の散歩道のようである。「世界一美しい散歩道」と形容されるにふさわしい、素晴らしい景観である。
 11km付近になると、辺りは明るくなり、目の前に景色が広がる。この辺りは1986年、左側からの大崩落が起こった場所だ。この崩落で、クリントン川の流れもコの字形に変わってしまっている。

 前方には氷河をたたえる山々が徐々に迫ってくる。それにしても快晴で、空のブルーが目にまぶしいほどだ。この陽気でうっすらと汗をかくほどである。

View from the large slip
11km付近の地滑りの跡 (11:53)
Large slip at 8km point
大崩落地点のクリントン川・西支流 (12:08)
West Branch of Clinton River
 大崩落の跡地を過ぎると、この崩落により出来た、池のような場所に出る。川の水の色は黄緑色に変わり、透明度もさらに増して、何ともいえず綺麗な光景だ。

West branch of Clinton River
West branch of Clinton River
 12km地点を示すマーカーを過ぎると、直ぐにヒレレ滝小屋に到着した。歩道には我々Guided Walkerの為に、LUNCHの案内板が出ていた。

 今日はここまでで11.9kmを歩いたことになる。ポンポローナロッジまでは、あと5.4kmほどの距離だ。

 小屋の裏手に行くと、女性ガイドのクリスティが暖かいコーヒーを入れてくれた。

 ここで昼食だ。今朝、自分で作ったサンドイッチを出し、食べようとすると、レタスの水分でパンがベトベトになっていた(苦笑)。何とも美味しくない。中味とパンを別々にラップして、持参したほうが良さそうだ。サンドイッチを2ヶ作ってきたが、一つ食べた所でギブアップ!(苦笑) 後はリンゴを一ヶ、丸かじりしてお腹をごまかした。
ヒレレ滝小屋 (12:46)
Hirere Falls Hut
イタズラ好きなキーア (12:52)
Kea
 小屋裏手のベンチで食事をしていると、突然、キーアという鳥が足下にやってきた。日本のカラス大ほどの大型の野鳥だ。

 昨日のプレゼンテーションで、この鳥はイタズラ好きで、モノを持っていってしまうことがあるので注意するようにと言われていた。それにしても、人間を怖がるそぶりはまったくない。オームの仲間だそうだが、なんとも不思議な鳥だ。
 ここで15分ほどの昼食休憩をとった後、小屋を出発する。20分ほど歩くと、マッキンノン峠が初めて前方に見えてきた(13.5km地点)。明日、あの峠を越えるのだ。まだ、ずいぶんと遠くに見える。

 Hidden Lakeを示すサインがあるので、トラックのルートを左に逸れた。バイパスルートのようだったので、ザックは背負ったまま向かう。目が肥えてしまったのか(苦笑)、あまり綺麗には見えなかったので、横目で眺めただけで先へと進んだ。

Hideen Lake
前方にマッキンノン峠が初めて見えてきた (13:13)
First view of Mackinnon Pass
日差しで照らされたコケ (13:36)
 14km地点を過ぎると、トラックは、再び森の中に入る。木々の隙間からさす日差しが道端のコケを照らし、何ともいえず綺麗だ。思わず立ち止まって写真を撮った。

Flora
Flora
 歩いていると、足下にまたロビンがやってきた。そして、僕の登山靴の上に留まろうとするではないか。なんて可愛らしい鳥なんだろう。

Bush Robin
サウスアイランド・ブッシュロビン (13:41)
South Island Bush Robin
トラックの様子 (13:46)
Track View
 ふと道端を見ると、コケがビッシリと着床した倒木から、木々の新たな芽が幾つも顔を出している。ここでは当たり前の日々の営みであろうが、僕にはそれがとても新鮮に映った。

木の芽 Bud
 14.3km付近でクリントン川の西支流に再び出会う。水がもの凄く綺麗だ。清流というのはまさにこういうことを言うのであろう。思わず見とれてしまう程だ。

Flora
クリントン川西支流の上流域 (13:52)
Clinton River West Branch
プレイリー湖からクリントン大渓谷を望む (14:06)
Prairie Lake
 15km地点を過ぎ、左側にコースを逸れ、プレイリー湖まで足を運ぶことにした。着くと、10名ほどの仲間が湖に足を浸して休憩していた。日本人ガイドのヒロも休んでいる。

 ここから、今まで歩いてきたクリントン大渓谷を見下ろすと、湖に山々が映し出され、素晴らしい景観だった。これは晴天だからこそ見ることのできる景色で、ほんとうに僕らはラッキーだ。

付近の滝 Falls
 プレイリー湖で15分ほど遊んで、14時16分に再び出発する。ここからは、太陽の日差しを浴びながら進む。山の上の氷河も間近で観られるようになってきた。

 向かいから若者3名がこちらに向かって歩いてきた。このコースは逆行できない筈なのに誰だろう? すれ違う時に挨拶したが、荷物を背負っていなかったので、おそらくロッジの人達だろう。一人は日本人女性に見えたが、定かではなかった。

Track View (14:29)
16km地点からマッキンノン峠を望む(14:25)
View from the 16km point
Marlene's Creek (14:46)
 16km地点のマーカーを14時46分に通過し、その先の橋を渡る。ポンポローナロッジまでは、あと1km少しだ。

 14時44分、バスストップに到着した。バスストップといってもバスが来るわけではない(笑)。この先のMarlene's Creekを渡るのだが、雨で沢の水が増水している時、渡れるようになるまで待機する場所だ。この時はもちろん、沢の水もほとんど無く、なんなく通過した。

 
Bus Stop (14:44)
 途中でヒロに追いつき、ポンポローナロッジまではヒロと話をしながら歩いた。そして、14時53分、今日の宿であるポンポローナロッジに到着した。

 出迎えてくれたのは男性の日本人スタッフだった。先程、3名の人とすれ違ったことを話すと、ロッジのスタッフが休み時間を利用して、プレイリー湖まで遊びに行ったのだという。日本人女性らしき人は、ここのロッジの日本人女性シェフだそうだ。

Pompolona Lodge
ポンポローナロッジ (14:53)
Pompolona Lodge
ロッジからの景色 (16:01)
View form the Lodge
 部屋まで案内してもらい、荷物を降ろす。今日の行程は16.1kmだったが、急な上り下りも無かった為、さほど疲れてはいない。

 部屋の窓から外を見ると、目の前には荒々しい岩山が迫っていた。素晴らしい景観だ。

View from the Lodge
(15:59)
 僕の部屋からはマッキンノン峠も望むことができた。目を凝らしてみると、峠の避難小屋が確認できる。明日はいよいよあの峠を越えるのだ。

View from the Lodge
ロッジからのマッキンノン峠 4x望遠 (18:13)
宿泊したロッジの部屋 (16:02)
Twin Room
 さて、夕食まではまだ時間があるので、シャワーを浴びて洗濯をすることにした。洗濯場があるが、混み合っていたので、部屋の洗面台で洗った。その後、洗濯場に行き、洗った洗濯物を旧式のローラー式脱水機にかけ乾燥室で干した。こうしておけば、夕食が終わる頃には乾いているだろう。乾燥室があることで、衣類を何日分も持参する必要はない。荷物軽量化の為、最低2日分ほど持っていれば充分だ。

乾燥室
 さて、17時からロッジのバーが開いたので、まずは缶ビールを飲む。ア〜ッ、うまい!(笑) その後、18時15分から、スライドを使って、翌日の説明会が行われた。ロッジにはガイドのプレゼンテーション用に、OHPも備わっている。

17:00〜Bar open
ガイドによるり翌日の説明会 (18:23)
Presentation by Guide
夕食風景 (19:11)
Dinner
 19時からお楽しみの夕食だ。今日は、アメリカのミネソタ州から来たというアメリカ人兄弟のご夫婦一行とテーブルを囲んだ。ちなみに、どの席に座ろうと自由だ。

 料理は4人のガイドが運んでくれる。日本なら、さしずめセルフサービスという所だろうが、顧客を楽しませる為には給仕をもする、この国のガイドの在り方には大いに感心した。

 彼らには変な気取りやプライドはなく、とても気持ち良く接することができる。若いのに大したものだ。

 僕の幼稚園のような英語に(苦笑)、アメリカ人ご夫婦も我慢して付き合ってくれ、楽しいひとときを過ごすことができた。1時間ほどで夕食が終わる。
 さて、昨日、今日と、幸運にも2日間も晴れてしまって、最高に気持ちの良いトレッキングが出来た。さすがに明日は、そろそろ雨かな? 一応、雨の覚悟は出来ているが、本音を言えば、もちろん晴れてほしい。まして、明日は標高1072mの峠越えなので、なおさらだ。

 明日の準備をする為、部屋に戻る。部屋の窓から外の山並みを観ると、夕日が山を照らし、綺麗な景色が広がっていた。22時の消灯と同時にベッドに潜り込み、今日の一日を終えた。
ロッジからの景色 (20:18)
View from the Lodge
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