2001年8月1日更新
※このコーナーでは、主に「孤高の世界」で使用している「山の用語」を中心に解説しています。
なお、下記リスト中の(D)はドイツ語、(E)は英語、(F)はフランス語、(J)は日本語
であることを表しています。
◆ア行◆
■アイスバーン Eisbahn (D)
 凍結して氷のようになった雪面のことで、通常、一度解けた雪が再び凍るとこのようになる。

■アイゼン Eizen (D)
 鋭い金属の爪がついた滑り止めの金具で、登山靴の底につけて使う。10本爪や12本爪のものが普通だが、夏の雪渓歩行用に4本爪の簡易なものもある。英語ではclimbing irons、フランス語ではcramponという。

■アップザイレン Abseilen (D)
 岩登り時に、ザイルを用いて岩壁を下降することを言います。日本語では「懸垂下降」と言われています。

■アブミ (J)

 いわゆる縄ばしこで、オーバーハングを登攀する時などに用います。
■アンザイレン Anseilen (D)
 登高時にパートナーとザイルで結び合うことを言います。

■アンサウンド Unsound (E)

 もろい岩のことを言う。正確にはunsound rockが正しい。

■エイト環 Eight-ring (E)
 8の字状の器具で、懸垂下降時の制動用、および確保時の制動用として用いる。

■オーバーハング Over hang (E)
 岩壁の状態が90°以上に傾斜している場合や、庇状にせり出している状態をいいます。
◆カ行◆
■カモシカ山行 (J)
 最小限の行動食で、夜通し歩く登山形式のこと。体を鍛えたり、自分の体力の限界を把握するなどの目的に限って行う。

■ガリー Gully (E)
 幅のある急峻な岩溝のことを言います。

■カラビナ Carabiner (E)
 バネ式の開閉部を持つ金属製の輪で、確保点とザイルの仲介に使用する。

■カンテ Kante (D)
 岩壁を分ける稜角のこと。

■キックステップ Kick step (E)
 アイゼンを装着しないで、登山靴のまま、固くなった雪面につま先を突き刺すようにして登る技術。

■キジ撃ち (J)
 山での排尿、排便のこと。小キジ、大キジなどと言う。ちなみに、オナラは空キジと言うが、広く使われているかどうかは定かでない。また、女性はお花摘みなどと言うこともある。

■キレット・切戸 (J)
 山稜が鋭くV字状に深く切れこんで低くなっている鞍部のこと。カタカナで書かれることが多いが、日本語である。

■グリセード Glissade (E)
 雪渓などの上をピッケルで制動をかけながら下ることを言います。これをもじって、雪面に尻餅をついたまま、ピッケルで制動をかけながら滑り降りる様を「シリセード」と言ったりします。(もちろん、英語ではありません。)
■グレイド Grade (F)
 岩場の難易度を表す等級づけを言う。UIAA(国際山岳連盟)の表記では、フリークライミングではT〜Y+までの12段階、人工登攀ではA0〜A3までの4段階に分けられている。(詳細は本ページの末尾を参照して下さい。)この他にアメリカ独自の表記システムもある。

■クラック Crack (E)
 手先や足などが入る程度の幅の岩の割れ目を言います。

■ゲレンデ Gelaende (D)
 岩登りの練習場をさします。

■コル Col (E)
 尾根上の鞍部のことです。

■ゴルジュ Gorge (F)
 沢などの両岸が切り立った場所を言います。 → 廊下

■コンティニアス Continuous (E)
 お互いにザイルで結んだまま、同時に行動することを言います。
◆サ行◆
■ザイル Seil (D)
 登山用のロープのことを言います。太さは8〜12ミリ、長さは30〜80メートルなどのものが良く使われます。

■シュラフ Schlafsack (D)
 袋状になった寝具のこと。寝袋とも言う。冬山などでは保温性と軽量化から羽毛で出来たものを使うことが多い。

■シュリンゲ Schlinge (D)
 懸垂下降時や確保時に使用するザイルの輪を言います。太さや大きさは目的に応じて様々です。 → 捨て縄

■森林限界 (J)
 針葉樹林帯などからハイ松など背の低い樹木に変わる地点(標高)。

■スタカット Staccato (E)
 ザイルで結び合った仲間のうち、常に一人が行動し、他の者は行動している者を確保する登山形式。(対語:コンティニアス)

■スタンス Stance (E)
 足場のことです。
■捨て縄 (J)
 懸垂下降時や確保時に使用するザイルの輪を言います。太さや大きさは目的に応じて様々です。 → シュリンゲ

■スパッツ Spats (E)
 靴の中に雪や雨が浸入するのを防ぐために、足首に付けるカバーのこと。短いものをショートスパッツ、膝までの長いものをロングスパッツという。

■スラブ Slab (E)
 滑らかな一枚岩のことです。

■雪庇 (J)
 「せっぴ」と読む。稜線に積もった雪が風下に張り出し、ひさし上にのびたものをいう。冬山では雪庇の有無とその大きさを的確に判断することが要求される。

■ゼルブスト Selbstband (D)
 岩登りで、安全確保用に体に装着するベルトのこと。上半身用、下半身用、全身用のものがある。 → ハーネス

■遡行 (J)
 沢や川を上流に向かってさかのぼること。
◆タ行◆
■高捲き (J)
 沢登りで正面の滝などを登らずに、横の壁などを登って迂回すること。

■チムニー Chimney (E)

 岩壁上に出来ている岩の割れ目を言うが、一般にはその中に人が入って上れる程度の幅のものを言う。

■チョックストーン Chock stone (E)
 チムニーや岩の割れ目にはさまっている岩をいう。

■ツァッケ Zacke (D)
 とがったものの意だが、登山ではアイゼンの爪などをさす。

■ツェルト Zelt (D)
 小型軽量の簡易テントのこと。
■テラス Terrace (E)
 岩壁の途中などにある岩の棚をいう。

■徒渉 (J)
 沢や川を歩いて渡ること。

■トラバース Traverse (E)
 岩や山の斜面を横断することをいう。

■トレール Trail (E)
 雪渓の上やブッシュの上につけられた踏跡をいいます。
◆ナ行◆
■ナイフリッジ Knife ridge (E)
 やせ細ったナイフの刃のような稜線のことです。
■ニードル Needle (E)
 針のようにとがった岩峰をいう。
◆ハ行◆
■ハーケン Haken (D)
 岩登りの時に岩の割れ目に打ち込んで、確保の支点などに使われる道具で、目的に応じて様々な形状のものがあります。 → ピトン

■ハーネス Harness (E)
 岩登りで、安全確保用に体に装着するベルトのこと。上半身用、下半身用、全身用のものがある。 → ゼルブスト

■バットレス Buttress (E)
 山を支えるかのような形状の急峻な岩壁をいいます。日本では北岳バットレスが有名です。

■バンド Band (E)
 岩登りでは帯状の棚のことを言います。

■ピッケル Pickel (D)
 ツルハシ状の杖で、雪上歩行時のバランス確保や滑落停止時などに用いる。

■ピッチ Pitch (E)
 岩登りではビレーポイントから次のビレーポイントまでの切れ目を言う。尾根歩きでは、休憩をとる毎の登高の切れ目を言う。

■ピトン Piton (F)
 岩登りの時に岩の割れ目に打ち込んで、確保の支点などに使われる道具で、目的に応じて様々な形状のものがあります。 → ハーケン

■ピナクル Pinnacle (E)
 岩峰や岩の突起をいう。

■ビバーク Bivouac (F)
 登高中に夜になってしまった時に、その場で一夜を過ごすことをいいます。

■ビレー Belay (E)
 岩登りで確保することを言います。

■フェイス Face (E)
 岩面のことですが、特に平面状の形をした岩面を指すときに使われます。
■ブッシュ Bush (E)
 藪(やぶ)のことをいいます。

■淵 (J)
 沢で水深が深くなり水が淀んだところをいう。

■フランケ Flanke (D)
 尾根の側壁のこと。

■フリクション Friction (E)
 摩擦の意だが、クライミングでは岩に対して体や手足の摩擦で登ることをフリクション・クライミングという。

■ブロッケンの妖怪 Brocken (D)
 雲やガスに覆われた中で、山頂に立つ人の影がその中に映し出され、そこから何重もの虹色の光の輪が放たれる現象を言う。語源はドイツ・ハルツの森にあるブロッケン山でこの現象が報告されたことに由来する。私の7年間の山行経験の中では、一度だけこの現象に遭遇しました。(1973年8月 後立山連峰にて)

■へつる、へつり (J)
 沢で水際の岩壁をはりつくようにして進む様。

■ホールド Hold (E)
 手がかりのことを言いますが、フットホールドと言えば足がかりのことです。

■ボルト Bolt (E)
 岩壁にハーケンなどを打ち込める割れ目が無い時に、キリ状の道具で穴をあけ、ここに打ち込んで支点を確保し、登攀を可能にするものです。一度打ち込んだボルトは取り外すことは出来ません。

■ホワイトアウト Whiteout (E)
 濃霧などで視界が利かなくなること。特に雪上でこれに見舞われると、ルートを間違い易いので危険である。
◆マ行◆
■モルゲンロート Morgenrot (D)
 朝焼けのこと。
◆ヤ行◆
■ヤッケ Jacke (D)
 防風・防寒用の上着のこと。
◆ラ行◆
■ラッセル (J)
 深い雪を踏み分けながら、道を切り開いていくこと。語源はRussell除雪車から来ている。

■リス Riss (D)
 岩の割れ目のことですが、ハーケンなどが打ち込める小さな割れ目を意味します。

■リッジ Ridge (E)
 稜線のことです。
■ルンゼ Runse (D)
 水や雪の流れにより削られてできた岩溝を言います。

■廊下 (J)
  渓谷や沢などの両岸が切り立った場所を言う。ゴルジュと同意語だが、日本ではある程度連続しているゴルジュを廊下と言う。 → ゴルジュ
◆ワ行◆
■わかん、かんじき、わかんじき (J)
 雪上歩行時に、足が雪に潜るのを防ぐ為に靴に着ける楕円状の輪のこと。
◆◆ 日本でのアルパイン・クライミングのグレイド ◆◆
フリークライミング ※下記は国際山岳連盟(UIAA)のグレイドです。
T ハイキング
U 時々手を使って登る簡単な岩登り
V 手足のバランスでの岩登り
W−
W
W+
ザイル確保が必要な岩登り
X−
X
X+
ザイル確保が必要な岩登り
Y−
Y
Y+
ザイル確保が必要な岩登り
※グレードが上がるにつれ難易度が増す。
人工登攀 ※下記は日本独自のグレイドです。
A0 プロテクションをホールドにして登る
A1 プロテクションがしっかりしている。アブミの動作はやさしい
A2 プロテクションの感覚が遠いか、壁の傾斜が強い。アブミの動作がやや難しい。
A3 プロテクションが不安定で、壁の傾斜が強い。アブミの動作が難しい。