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大江川沿いに咲く水芭蕉 |
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透き通った小川のせせらぎと、その川沿いに咲く水芭蕉。なんて素晴らしい景色なんだろう。時の経つのも忘れ、目の前に広がる光景に見入ってしまう。ここから10分ほど歩くと、尾瀬沼湖畔のビジターセンターに到着する。
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ビジターセンターからの尾瀬沼と燧ヶ岳
(画像クリックで拡大画像を表示) |
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ビジターセンターからは燧ヶ岳が良く見える。ウムー、この山に最後に登ったのは1977年の10月だったので、約28年ぶりの再会だ。当時の記憶も薄らいだが、山容だけはしっかりと記憶していた。
天気も良いし、やっぱり登ろうかな? メンバーと相談する。志願者は山の経験のある僕とYさんの2名。共に50才台の中年登山隊である。雪の状態が多少心配だったが、やばかったら、その時点で引き返しましょう、ということで、行けるところまで行ってみることで決定する。他のメンバー4名は尾瀬沼周辺を散策し、夕方、予約している山小屋で合流することとする。 |
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◆◆ ここから燧ヶ岳登山 ◆◆ |
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長英新道の下部(残雪が多い) |
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ビジターセンターを8時35分に出発。来た道を少し戻り、20分ほど歩いて長英新道に入る。樹林帯の中は予想以上に残雪が多く、登山道はほとんど顔を出していない。登山ルートを示す木に結ばれた赤布を頼りに、ひたすら残雪の上を歩く。ほぼ30分ピッチで、軽快に2時間程歩いたが、まだ樹林帯の中だ。長い・・・。
途中、雪解け水が轟々と流れ、まるで沢登りでもやっているかのごとき場所も幾度か通過する。 |
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長英新道の下部(新緑がまぶしい) |
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この時期の雪面は、地面の温度で雪面の下部のみが解け、空洞になっていることが多く、この上に乗ると自重で雪を踏み抜くこともしばしばである。
こうなった時は、雪に潜り込んだ自分の足を引き抜くのが結構やっかいで、想像以上に体力を消耗する。こんなことを幾度となく繰り返していると、次第に体力が消耗していく。
途中、上から下山してくる何人かの登山者と出会う。稜線の雪の状態を聞くと、柴安ぐらと俎ぐら間の急斜面は気をつけたほうが良いが、それ以外は特に大丈夫でしょう、という情報を得る。 |
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ミノブチ岳への急登(雪面)
かなりへばってます・・・ |
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登り初めてから既に3時間が経過しようとする頃、ようやく森林限界を超え、見晴らしが良くなる。この時、僕は既に軽快に進むYさんから次第に遅れ気味になっていた。
Yさんも気を使ってくれ、間があまりあかないように時々立ち止まってくれる。「体力ないなー!」と自問自答しながら、必死にYさんの後を追う。
ミノブチ岳への急登で、ついにへばってきた私を見てか、昼食にしようと声をかけられる。
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ミノブチ岳への急登から燧ヶ岳(俎ぐら2346m)を望む |
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あ〜助かった・・・。へばっている時はこんなもんだ。周りの景色を見る余裕もなく、しばらくザックの上に座り込んで息を整える。
持参したおにぎりとソーセージを口に運ぶが、おいしさは感じなかった。食べないとバテるぞ! そう自分に言い聞かせながら、おにぎりを胃に流し込んだ。
20分ほど休んだろうか、少しは元気も出てきたようなので出発となる。ミノブチ岳への急登を一気に登り詰める。 |
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ミノブチ岳から燧ヶ岳(俎ぐら2346m、向かって右側)を望む |
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息も絶え絶えでようやくミノブチ岳に到着する。それにしても長い。長英新道は過去2回登っているが、こんなに苦労した印象はなく、やはり体力の衰えか・・・。結構、ショックである。
振り返れば、ここまで登ってきたルートは、ほとんどが雪の上であり、そんなことも体力が消耗する原因かもしれない。
ミノブチ岳から燧ヶ岳(まないたぐら)までは30分ほどのコースだが、今の僕には遙か遠くに感じる。
燧ヶ岳の直下の岩場では膝の筋肉がピクピクしてきて、痙攣を起こす一歩手前の状態だった。何とも情けない限り・・・。 |
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燧ヶ岳(俎ぐら2345m)山頂
(後は尾瀬沼) |
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そして、12時30分、ビジターセンターを出発してからちょうど4時間を経て、這いつくばるようにして、ようやく燧ヶ岳山頂(俎ぐら、2346m)に到着した。標準コースタイムの3時間を1時間超過した登山タイムだった。
長かった〜。途中、へばりかけた時は、燧ヶ岳登山を志願したことに後悔もしながら、とはいえ、ギブアップもできないし、意地だけで登ってきたようなものだった。
体力ねーなー! なにやっとるん! これ、頂上で思った自分に対する素直な感想である。 |
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俎ぐら山頂2346mより柴安ぐら山頂2356mを望む
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ともかく、頂上からの素晴らしいパノラマは、僕の疲れた体を十分に癒してくれた。
尾瀬沼が眼下に見てとれる。素晴らしい景色だ。あそこから登ってきたことがウソのようだった。
この素晴らしい景色を見ながら、ビールで乾杯! そういきたい所であるが、これからの行動もあるので、ここでアルコールを飲むことは自粛した。実は、僕のザックの中には、今夜、山小屋で仲間と飲む為に持参してきた350mlの缶ビールが4ヶ、500mlの缶ビールが1ヶ入っていたのだった。当初から燧ヶ岳に登るつもりなら、おそらく持ってくることはあるまいが・・・。 |
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俎ぐら山頂より尾瀬沼を望む
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さて、頂上で大休止しながら、柴安ぐらの急雪面を登れるものか、ずっと考えていた。見た限りでは中央部分の傾斜はなかりあり、滑れば下部まで滑落しかねない。
一歩一歩慎重に行けば大丈夫だろうということで、滑落防止用と化したストックを頼りに、柴安ぐらに向けて進むこととした。
最も傾斜のある雪面では少し緊張したが、登りということもあり、さほどの恐怖感もなく、30分ちょうどで柴安ぐら山頂(2356m)に到着する。 |
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俎ぐら山頂からのパノラマ
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