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斜里岳山頂より一瞬見えた斜里町とオホーツク海 |
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山頂で休憩中、ほんの一瞬だが、ガスの切れ間から斜里町とオホーツク海が見えた。稜線に出てから全く視界が利かない状況だったので、この時ばかりは年甲斐もなく感激した。強風の中であったが、リスが居たこともあってか、40分ほどを山頂で過ごした。これ以上、天候の回復は望めそうにもないので、10時丁度に下山を開始した。同行した彼女は「私は下りが遅いのでお先に行って下さい」と申し出ていたが、特に急ぐ旅でもないし、僕は高山植物を撮影しながら下るのが好きなので、彼女には先に行ってもらい、僕は後からゆっくりとついていくことにした。
しばらく下山した後、僕は持参していた1眼レフを見て衝撃を受ける。それは、なんと、パノラマモードのスイッチがオンになっていたのだ。ガ〜ン! いつからパノラマモードになっていたのかもわからないので凄いショックだった。(後日、現像後、登山開始直後よりパノラマモードになっていたことが判明した。)まったく大チョンボだった。ということで、ここでご紹介する高山植物の写真は、世にも珍しいパノラマ撮影からの切り張りです。(爆)
こういう時、不幸というものは重なるもので、その後、高山植物を撮影していると、突然、フィルムが巻上がってしまった。まだフィルムは10枚ほど残っていたはずなのに・・・。何と言うことだ。触れてもいないのに、フォーカスのモータが勝手に動いたりしている。あ〜、完全に誤作動しているのだ。おそらく、下山中、首にぶら下げたまま霧まじりの強風にさらしていたので、カメラの制御部に水が浸入してしまったためと判断した。ここでこれ以上使用できる訳もなく、1眼レフの使用を断念した。残る頼りはデジカメだけだ。カメラはもっと大事にせねば・・・と大いに後悔しながら下っていった。その日の夜、乾いた後で確認したところ、一応正常に復帰したようなので一安心した。
途中、熊見峠で大休止をとった為、普通に下れば2時間半ほどのコースを、3時間半も費やして下ってきた。それでも13時半には清岳荘に到着した。小屋に備え付けの用紙に下山届けを記入していると、小屋の主人が近づいてきて、犬を連れた中年登山者と出会わなかったか尋ねられた。確かに、熊見峠からの下山路(新道)ですれ違っていた。確か13時頃だった。すれ違った時は、まさかこんな時間に頂上へ行くんじゃないだろうな? とは思っていたが、どうも頂上を目指して登っていったらしい。12時過ぎに登山を開始するという、いわゆる非常識な行動だ。そういえば、すれ違う時、僕は挨拶をしたのだが、先方はジロッとにらみ返すだけで、声も発しなかった。変な野郎だな・・・と思ったが、さして気にもしないで下ってきた。
小屋のご主人いわく、登り始めた時間も問題だが、犬を連れていったことにひどく立腹していた。僕はあのオヤジが犬を連れているのを見た時、万が一、クマと遭遇しても犬がいれば心強いな、と思っていたのだが、ご主人に聞くと事情は逆のようで、犬を連れての入山はすべて断っているとのことだった。
ご主人はその理由も教えてくれた。それは、例えばクマが茂みに潜んでいたとしても、人間だけならその存在すら気付くこともなく通り過ぎてしまうが、犬はクマの存在に気づいてしまう可能性が高く、その結果、クマに対して吠えてしまうらしい。無用に吠えないよう訓練された特殊犬ならともかく、普通の飼い犬は間違いなく吠えるそうだ。犬に吠えられることでクマは興奮してしまうので、かえって危険なのだそうだ。そう説明を受けると、確かにその通りだ。ちなみに、その犬を連れたオヤジは、小屋のご主人が町へ買い物に行っている間に犬をつれて入山してしまったらしい。
日暮れまではまだ時間があるので、僕はこの足で網走までひとっ走りし、網走刑務所を観光することにした。伴に登ってくれた彼女にも別れを告げ、僕は清岳荘を後にした。
後記)
僕が斜里岳に登った日、斜里町の朝の気温は17℃位だったと思う。8月とはいえ、半袖では肌寒い位だった。単純に考えれば、この時の斜里岳山頂の気温は8℃だ。北海道の山は1500m前後の比較的標高の低い山が多いが、本州の山に対する感覚で、標高だけで判断しないことだ。本州に比べ緯度が高い分、標高は低くても気象条件は厳しい。本州の山を前提に考えれば、+1000m位を加味した位の感覚で捕らえることが必要のようだ。
斜里岳を例に上げると、標高こそ1547mだが、日本アルプスの2500級の山の気象条件と同じあるいはそれ以上と思った方がよい。現に、僕が斜里岳に登った日、山頂では風速20mほどの強風が吹き荒れ、体感温度は5℃位に感じた。半袖などではとても居られない寒さだった。本州の標高1500m級の山に比べ格段に厳しい気象条件だった。天候の良い時などは、山頂で日向ぼっこができるほどの陽気になるようだが、ひとたび天候が悪化すると、想像以上に厳しい自然環境になることを身をもって感じた次第である。人にさとすほどの経験はないが、北海道の山に登る際は、クマへの用心と共に緯度の違いを充分考慮した相応の備えが必要のようだ。 |
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斜里岳山頂で見かけたシマリス |
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下山直後の斜里岳
山頂にはしっかりと傘のような雲が覆い被さっていた。 |
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斜里岳に咲く高山植物
イワギキョウ (ききょう科 ホタルブクロ属) |
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斜里岳に咲く高山植物
エゾツツジ (つつじ科 ツツジ属) |
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斜里岳に咲く高山植物
ハイオトギリ (おとぎりそう科 オトギリソウ属) |
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斜里岳に咲く高山植物
マルバシモツケ (ばら科 シモツケ属) |
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斜里岳に咲く高山植物
コウメバチソウ (ゆきのした科 ウメバチソウ属) |
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斜里岳に咲く高山植物
ウスユキトウヒレン or ユキバトウヒレン
(きく科 トウヒレン属) |
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