平成の気まぐれ山行記 2002年8月19日 作成
北海道・斜里岳
(清里コース)
2002年8月5日
その1
 2週間に渡る北海道旅行の道中、斜里岳(標高1547m)に登ってきました。斜里岳は知床連峰と阿寒連山を結ぶ位置に独立峰としてそびえる山です。登山ルートは清里町から入る清里コースと、斜里町から入る三井(玉石ノ沢)コースがありますが、今回は登り下り共に前者の清里コースをたどりました。
◆ コースタイム ◆
清岳荘登山口 05:40/06:00〜下二股 06:35〜羽衣の滝 07:00〜7合目 07:33〜七連の滝 07:47〜馬ノ背 09:00〜斜里岳(1547m)山頂 09:20/10:00〜熊見峠 11:25〜清岳荘 13:30
■マップ(北海道)
■ルート断面図
斜里町から見た朝の斜里岳
 前日、知床半島で遊んだ後、その日のうちに斜里町の宿に投宿した。天気予報を聞いたが、あまりかんばしくない。残念だが予備日も確保していないので、行けるところまで行く覚悟で宿を後にした。前日、宿の女将さんにおにぎりを頼んでおいたので、これを持って5時に宿を出発する。途中、マイカーの車窓より斜里岳が目に入ってくる。幸い、まだ山頂付近にはガスがかかっていない。何とかこのまま天気がもってくれることを念じながら、登山口へと車を走らせた。

 斜里岳登山口への林道の入口は直ぐにわかった。しっかりした案内板もある。宿を出発して40分で登山口の清岳荘に到着する。僕が到着した時はすでに3台の乗用車が停まっていた。この場所には10台ほどの車が駐車可能だ。清岳荘付近の標高は700mほどなので、斜里岳山頂までの標高差は850mとなる。

 早速、身支度をしていると下から1台の乗用車が上がってきた。この時間なので同じ登山者らしい。良く見ると女性で、挨拶をした後に訪ねると、道内在住の方で今日は単独で登りにきたとのこと。いや〜、最近の女性は恐るべし。(爆)僕が準備にモタついている間に、彼女は早々と登って行ってしまった。手際の良さに感心しながら、僕も出発の準備を急いだ。清岳荘の横に設置してある入山記録に必要事項を記入し、6時ちょうどに登山を開始する。

 北海道の山に登るのは今回が初めてだ。当初、知床半島の羅臼岳に登ろうと思っていたのだが、「ヒグマの生息密度が高い地域なので登山者は充分注意するように・・・」との案内書を読んで、情けない話だが僕はすっかりビビッてしまった。羅臼岳よりは斜里岳のほうがクマは少ないのかな? と勝手な解釈をして斜里岳を選んだ次第である。だからといって、ヒグマが生息していない訳もなく、念のため、クマよけのスズやクライミングをやっていた時に使っていたホイッスルなどを持参してきた。

 出発から10分ほどクマザサの生い茂った薄暗い林の中を進むと、前方に先ほど登っていった女性が一人座り込んでいた。近づいて尋ねると、クマが出そうな雰囲気なので、下から誰か登ってくるのを待っていたのだという。確かに、生い茂ったクマザサの中を一人で進むのは女性でなくとも気持ちの良いものではない。同行を断る理由もないので、一緒に登ることにした。

 この清里コースの旧道は、コース全体の2/3ほどが沢の中をたどるという珍しいルートだ。沢登りではないが、一の沢川の源流づたいに登るのである。出発から既に何度か徒渉を繰り返している。橋は架かっていないので増水時の徒渉は大変だろう。あまりの徒渉回数の多さに、僕は濡れることを懸念して、途中で持参したロングスパッツを着用した。このロングスパッツは若い頃に使っていたもので、何と23年ぶりに着用した。何て物持ちが良いのだろう。(爆)

 登山口から30分ほどで下二股に到着する。ここから新道と旧道に分かれる。登りは沢づたいの旧道を、帰りは尾根づたいの新道を下るのが一般的なようだ。旧道を登るにつれ、沢の幅も次第に狭くなり、幾つかの滝が現れる。下から、羽衣の滝、方丈の滝、見晴らしの滝、七重の滝、霊華の滝、竜神の滝と銘々されており、要所には滝の名称を示す看板もあるが、ここでご紹介した写真の滝がその何れかだったかは、すっかり忘れてしまった。

 水量が少なくなるに従って、沢の右左岸を直登するようになる。この頃より、あたりにガスが立ち込め始め、視界もあまりきかなくなる。下二股から約2時間半で馬ノ背に到着する。あたりは完全にガスっており、景色はまったく望めない。残念だが仕方がない。

 そして、出発から3時間20分の所要で、ついに斜里岳山頂に到着する。景色がまったく見えないので、さしたる感動もなかった。山頂には一人の先行者が居たが、僕らが到着すると入れ替わりに下山していった。それにしても、山頂付近はもの凄い強風が吹き荒れており、立っているのもままならないほどだった。おそらく風速20m位はあっただろう。

 強風の影響で体感温度も5℃位に感じた。厄介なことに強風と共にキリが吹き付けてくるので、メガネはまったく用を足さなくなっていた。こんな山頂に長居ができる訳もなく、風を避けられる窪地を探して避難し、ここで昼食を食べることにする。

 持参したおにぎりを食べていると、突然、僕の足元で何かがうごめいた。僕はとっさにヘビだと思ってドキッとしたが、良く見ると、それはなんと体長15cmほどの可愛らしいシマリス(エゾシマリス)であった。

 怖がる素振りも見せずに足元まで近づいてくるではないか。この時はなんて人なつこい動物だろうと感心し、可愛さあまっておにぎりの一部を与えてしまったが、後でよくよく考えると、どうもここにくる登山者の残飯や与えた食べ物などで、結果的に餌付けされてしまっているらしいことに気がついた。僕は自分の行為を悔いたが、結局は後の祭りだった。(猛省)

   =以下、その2へ続く=
林道入口
清岳荘(清里コース登山口)
一の沢下部
一の沢上部のナメ滝
羽衣の滝だったかな?
一の沢源流部
この沢づたいに登っていく。
一の沢上部のナメ滝
右岸が登山ルートだ。
馬ノ背近くの稜線上のルート
斜里岳(1547m)山頂にて
ケルンを持っていないと風で吹き飛ばされそうだった。
ケルン横のペットボトルは、当初、捨ててあるものと思い、すっかり気分を害したが、その後、ケルン補修用に荷揚げされたセメントを固める為の水であろうとの話を頂きました。でも、保管場所にもう少し気を配ってくれると嬉しいのだが・・・。
その2へ
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