Vol. No. 19 2003.10.18 upload
GPSってなあに?
■はじめに
 この言葉、最近は日常生活の中でも良く耳にするようになりましたね。GPSとはGlobal Positioning Systemの略で、これを簡潔に表す日本語はどうも見あたらないようです。文章になってしまいますが、「地球の周りをまわる人工衛星からの電波を受けて自分の位置を知るシステム」ということになります。

 私はGPSの専門家ではありませんので、細かな説明が出来るはずもありません。ここに書いているのは、自分自身の理解を深める為、と思って下さい。従って、間違った表現や解釈があるかもしれません。その点はご容赦下さい。お気づきの点があればご指摘下さい。なお、GPSをキーワードとしてウェブ検索すると、原理や仕組みを説明する様々なサイトがありますので、専門的なお話はそちらに譲るとして、ここではなるべく判りやすく、出来るだけ難しい言葉を避けて説明してみたいと思います。

■誰が発明したの?
 元々は米国で軍事目的で開発されたもので、今のGPSシステムの原型は1970年代初頭より米国で研究が開始されたそうです。そして、1993年になってその利用が民間に解放され、以降、今日まで急速な発展を遂げてきたという訳です。特に、カーナビゲーションへの応用は凄まじい発展で、また、最近ではGPSを搭載した携帯電話まで登場するに至っています。ここからは、カーナビやGPS携帯のことを総称して「GPS端末」という言葉に置き換えて説明することにします。

■どうして自分の位置が判るの?
 誰もがこう疑問に思うでしょう。私もその一人でした。では、何故、人工衛星からの電波を受けて自分の位置がわかるのでしょうか。これから順を追って説明します。

■GPS人工衛星って?
 一口に人工衛星といっても、様々な目的のものがありますよね。GPSではNAVSTAR/GPSと呼ばれている専用の人工衛星が使われています。そして、なんと24個ものGPS衛星が、地球上の高度20,000km位のところを周回しています。この衛星群は4個ずつ、6つのグループに分かれ、それぞれのグループが地球を取り巻く円軌道で飛んでいます。イメージ的には図1のようになります。この図中の衛星の位置関係は正確ではありませんので、あくまで概念を理解する為としてご覧下さい。

図1 GPS衛星の配置イメージ

 これら24個のGPS衛星はすべて12時間の周期で地球をまわっています。(現時点では28個のGPS衛星が地球をまわっているそうです。)ですから、地球上の何処であっても、常に4ヶ以上の衛星が見えることになります。見通しの良い所であれば常に5ヶ〜6ヶの衛星が見えるでしょう。(肉眼で見えるという意味ではなく、衛星からの電波が受信できるという意味です。)

 また、ここからがGPS衛星の命の源ということになるのですが、実はGPS衛星には非常に正確な時計(発振器)が搭載されています。もう少し正確にいうと、セシウム原子発振器(安定度10-13)が2台、ルビジウム発振器が2台、さらに予備用の水晶発振器も搭載されています。10-13というのは、例えば、1秒の精度が0.0000000000001秒まで正確だということで、もっと判りやすく言うと、32万年に1秒位しか狂わない精度ということです。詳しくは後述しますが、実はこの正確な時刻こそが、位置を決めるための重要な要素です。そのため、24個のGPS衛星に搭載されている時計の時刻は、お互いが同じ時を刻むよう、地球上にある監視局で日々厳密に制御されています。

■衛星からの電波って?
 GPS衛星からは、1575.42MHz(L1)、 1227.60MHz(L2)の2つの周波数で、地球に向かって電波が発射されています。そして、地球上のGPS端末は衛星から到来する複数の電波を受信して、その中に含まれている時刻や衛星の位置などの情報を解読し、様々な計算をして自分の位置を特定します。

 衛星から発射される電波には、その電波を発射した瞬間の正確な時刻が情報として含まれています。地球上のGPS端末は、自分自身に搭載されている時計を使って、電波が発射された時刻とそれを受信した時刻から、その時間差(即ち、電波が発射されてから到着するまでの時間)を計算します。電波の伝わる速度は決まっていますので、時間差が判れば衛星から自分までの距離が計算できます。

 例えば、電波を発射してから到着する迄の時間が0.07秒だったとします。電波は1秒間に30万km伝わりますので、300,000kmx0.07秒=21,000kmとなり、衛星と自分の間の距離を求めることができます。

■位置を特定する・・・
 いよいよ自分の位置の特定に入ります。GPS端末は自分の位置を特定する為に、まず電波を発射した衛星の位置を知る必要があります。衛星の位置は、初期位置が判れば、速度(加速度)と時間の経過からその位置を方程式で導き出すことができます。この方程式を解く為の要素はエフェメリスと呼ばれ、地上の監視局で計算され、その結果が2時間毎に各衛星に送られています。そして、衛星はその情報を自分の航行メッセージとして常に発信しています。少し判りづらい説明でしたね。もう少し簡単に言うと、各衛星は自分の位置を地上の監視局で計算してもらい、その結果を地上からもらって、電波に乗せて地球上に再発信している。そして、地上のGPS端末は、衛星からの電波の中から位置の情報を解読することで、衛星の正確な位置を知ることができる。

 まず、GPS端末が1つの衛星からの電波を受信したとします。GPS端末は自分とその衛星の間の距離を計算します。また、衛星の位置も解読して特定します。この2つの情報を得ることで、衛星の位置を中心として自分との距離を半径とした「球」を描くことができます。そして、自分はその球面上のどこかにいることが判ります。衛星からの電波を1つ受信しただけでは、残念ながらここまでしか判りません。

 次に2つの衛星からの電波を受信したとすると、同様にそれぞれの衛星を中心として2つの球面を描くことができ、自分はその2つの球面が交差する円周上のどこかにいるということが判ります。2つの球面の交点は2つ存在しますが、そのうちの1つは遙か上空の彼方である訳ですので、これは無視できます。さらに、衛星が3つなら3つの球面の円周が交差する点が自分の居る位置ということになります。原理的にはこれで自分の位置を特定することが可能です。

図2 位置特定のイメージ その1

 しかし、実際には、この3つの衛星を捕獲しただけでは、正確な位置は特定できず、誤差が発生してしまいます。その原因はGPS端末に搭載されている時計のズレにあります。

 正確な位置を求めるには、正確な時刻を知る必要があるということです。「正確な時刻を知る」という新たな未知の要素が発生しますので、これを方程式で解くには、4つ目の衛星との距離が必要になります。こうして、GPS端末は4つの衛星を捕獲することで、自身の正確な位置を知ることができるようになります。同時に正確な時刻もわかるようになります。

図3 位置特定のイメージ その2

 以上、舌足らずな部分が多いかと思いますが、おわかり頂けたでしょうか。さも、判ったようなことを書いてしまいましたが、実際は大して理解しておりません。誤り等ありましたら、遠慮無くご指摘下さい。

■GPSレシーバ試用レポート

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