2006年8月13日
サブウーハー&リアセンタースピーカ修理
Vol. 26
助手席の足下
 NSXにはBOSE社が専用に開発し、独自にチューニングしたオーディオが搭載されています。オーディオ・コントローラはセンターコンソールに納められています。スピーカは左右のドアに1ヶずつ、サブウーハーが助手席の足下に1ヶ、リアセンタースピーカが背後中央に1ヶの合計4ヶ備え付けられています。このうち、ドアスピーカとサブウーハーにはそれぞれオーディオアンプが別々につけられています。

 実は、車両購入当初より何となく気がついていたのですが、サブウーハーとリアセンタースピーカから音が出ていませんでした。左右のドアスピーカ用アンプは購入当初に新品に交換しましたので、この2つのスピーカのみでオーディオを聞いていました。音が出ない原因は、おそらく、サブウーハー用のアンプが壊れているものと推測していました。
 NSX専用のBose社アンプの修理費用ですが、交換工賃込みで一つ7万円程と、めちゃ高いです。カーオーディオの新品一式が買えちゃいますね。

 修理費が安ければディーラで交換しちゃうんですが、こんな修理費がかかるので、休日に少し悪あがきをしてみました。

 NSXユーザなら多くの方が知っていますが、このBoseのアンプに使われているコンデンサが問題を引き起こしています。経年変化による容量抜けが、かなりの確率で発生します。10年経っている車はほとんどこの問題を抱えていると言っていいでしょう。元々、コンデンサというものはこういうものなので、欠陥という訳ではありませんが、それにしても使っているコンデンサの品質が悪い! ホンダさん、何とかしてちょうだい。
サブウーハー保護用のアルミ板
サブウーハーユニットが見える
 ということで、前置きが長くなりましたが、サブウーハーとリアセンタースピーカを生き返らせる為に、サブウーハー用アンプのコンデンサを交換してみることにしました。(治る保証はありませんけど・・・。)

 まずは、助手席のフロアマットを外し、フロアカーペットを剥がします。すると、上の写真のように保護用のアルミ板が現れます。下部の10mm六角ボルトx2ヶを外します。続けて、上部の10mm六角ボルトx1ヶをゆるめます。これでアルミ板は取り外せます。すると、左のようにサブウーハーユニットが現れます。へ〜! こんな所に収まってたんだ〜! 知らなかった・・・。

 このユニットは上部の10mm六角ボルトx2ヶを緩め、上部のハーネスx2ヶを外せば取り外しできます。
 と、いとも簡単に書きましたが、実はここまでで構造を把握し取り外すのに2時間かかりました。最初はとんちんかんなボルトを外して、「外れない!何でだ〜!」って、結構イライラして悩みました。また、上部のボルトを緩めるにはボックスレンチが必要です。スパナが入るスペースはありません。

 ということで、どうにかユニットを取り外すことに成功しました。左の画像がそのユニットです。ここからは机の上での作業になります。まず、ユニットを留めているタッピングネジを外します。このネジの頭は六角で、かつ、インチネジになっていますので、専用のボックスドライバーが必要になります。手元にたまたまインチ対応のボックスドライバーがあったので助かりました。

取り外したサブウーハーユニット
独自の形状で設計されており、ダクトなども配置
されている。
ユニットを2つに分ける
 ネジを外すと、左の画像のように、ユニットは2つに分かれます。片方はウーハー、片方はアンプです。アンプのハーネスを外し、4ヶ所のネジを外すとカバーからアンプユニットが外れます。左の画像で白く見えているのは吸音材です。
 アンプユニットの部品側には放熱板が取り付けられていますので、まず、この放熱板を外します。
サブウーハー&リアセンタースピーカ用アンプ
上の放熱板を外す
サブウーハー&リアセンタースピーカ用アンプ
 左の基板がサブウーハー&センタースピーカ用アンプです。電解コンデンサが12ヶ取り付けられていますので、このコンデンサすべてを新品に交換します。この基板は両面に回路パターンがあるので(いわゆる両面基板)、電子部品の組み立てをやったことがない方は、少し難しいかもしれません。半田ごて、半田、半田吸取機などが必要になります。

 大きなコンデンサを外すと、確かに液漏れしていました。この液は基板のパターンを腐食させるので、コンデンサを外した後にシンナーやアルコールなどで綺麗に拭き取ります。すべてのコンデンサを交換すれば、基本的な作業は終了です。また、せっかく分解したので、回路上のトランジスタやダイオード等の部品に焼けた跡がないかも調べます。焼けた跡があれば、もちろんコンデンサだけを交換しても治りません。幸い、そういう形跡はありませんでしたので、これで治ると嬉しいのですが・・・。

 さて、今までの作業の逆を辿って、ユニットを元に戻します。一回外せば、構造が判るので、組み込み時は比較的早く作業が進みました。
 すべて組み込んだところで、イグニッションキーをオンにし、オーディオを聞いてみます。さて、治っているか・・・? 恐る恐るリアセンタースピーカに耳を当ててみると、ジジジ・・・というセミの鳴くような微かな音しか聞こえない・・・。エ〜! ここまで作業したのに・・・。サブウーハーにも耳を当ててみるが、こちらはまったく音が出ていない。ガガ〜ン! 大ショック! 今まで汗だくになりながら5時間も頑張ったのに・・・。

 ということで、日頃の行いが悪いせいか、神は私に味方してくれず(爆)、休日の悪あがきは空振りに終わりました。こうなれば、ユニットを交換するしかありませんが、いかんせん修理代が高いので迷うところです。

 NSXユーザの中には、オーディオそのものを社外品に交換してしまっている人が多くいます。理由は故障が多いこと、修理費用が高いこと、コントローラ本体にCDが装備されていないこと等が理由でしょう。今時、カセットテープを聴く人は少ないでしょうし・・・。でも、やっぱ、BOSE社がNSX専用に開発したオリジナルサウンドが聴きたい・・・。ユニット基板のみ取り寄せ、自分で交換しようかな・・・。こうすれば少しは費用が抑えられる筈です。

交換したコンデンサx12ヶ(右側)

追記)
 その後、1週間程してCDチェンジャーが壊れた為、別のチェンジャーに交換した際、再度オーディオを聞いてみると、やけに良い音がするではありませんか。エ! と思ってリアスピーカに耳を当てると、ちゃんと音が出ていました。ウーハーからも重低音の心地良い音が発せられています。やった〜! はっきりした理由はわかりませんが、コンデンサを交換した時は、通電して直ぐに動作確認をしたので、コンデンサへの充電が充分でない状態で結論を出してしまったのかもしれません。いずれにしても、ラッキーです。ウーハー用アンプはコンデンサ交換で生き返ったことになります。

 ウーハーが鳴っていると、今までドアスピーカだけで聞いていた音質とは全然違って、重低音の迫力あるサウンドです。これがBoseがNSX用に独自にチューニングしたBoseサウンドなんだ〜と感激しました。皆さんもトライしてみてはどうでしょう。
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