2001年10月6日 作成
北アルプス 剣岳
八ッ峰Y峰A&Cフェース登攀
1976(S51)年7月28日〜8月2日
■八ッ峰Y峰Cフェース・ルート図
■八ッ峰Y峰Aフェース・ルート図
7月28日 新宿 23:20 (アルプス7号)
7月29日 信濃大町 06:00〜(タクシー)〜扇沢 06:30〜(トロリーバス)〜黒部ダム 09:00〜内蔵助平 12:00〜真砂沢 15:00 BC設営
7月30日 BC発 05:00〜長次郎谷〜XYのコル 08:00〜YZ[峰 八ッ峰の頭 12:00〜剣岳 13:00〜剣沢小屋 15:00〜BC 16:00
7月31日 BC発 05:00〜TUのコル 07:00〜源次郎尾根〜剣岳 12:00〜BC 15:00
8月01日 BC発 05:00〜取付 07:30〜Y峰Aフェース登攀〜ピーク 09:00〜取付 11:00〜Y峰Cフェース登攀 13:00〜BC 15:00
8月02日 BC発 05:00〜内蔵助平 08:00〜黒部ダム 11:00〜(トロリーバス)〜扇沢〜(バス)〜信濃大町〜(電車)〜立川
メンバー: 山口(CL)、渡辺(SL)、島野
会費(交通費/食料費): \10,000/一人 ※山行計画書有り
※上表のコースタイムおよび行動は計画時のものです。
長次郎谷の雪渓
 残念ながら山行報告書が残っていないので、手元にある山行計画書を頼りに、おぼろげな記憶を呼び戻してみたい。

 会の仲間二人と伴に、剣岳に向かった。今回は、剣岳東面の「八ッ峰」という岩峰を抱えた尾根で、ロッククライミングをするのが主な目的だ。

 扇沢よりトロリーバスで黒部ダムに降り立つ。ここから黒部川下流を進む。黒部ダムは何度見ても凄い。山深い秘境に良くこんなどでかいものが造れたものだ。ダムが放水する水しぶきを浴びながら、内蔵助谷を経由して、幕営予定地の真砂沢ロッジの天幕場に到着する。

 幸いにして、翌日は朝から良く晴れていた。僕らは登攀道具を用意し、早々BCを出発し、長次郎谷を奥につめる。次第に八ッ峰の全容が目の前に広がってくる。ここは尾根というよりは、それぞれ独立した岩峰が幾つにも連なっている。素晴らしい景観だ。持参してきた八ッ峰のマップを頼りに、目指すY峰を探しながら雪渓をつめる。

 目指すY峰はすぐにわかった。Y峰の岸壁基部に到着し、これから登るルートを検討しながら、しばし小休止する。

 さて、登攀道具も装着し、いよいよCフェースの登攀開始だ。僕らはリッジルート(剣稜会ルート)を登攀することとし、僕がトップで登攀を開始する。この時は3人での登攀だったので、11ミリ、40メートルのザイルを2本使用し、尺取り虫スタイルでの登攀となった。出だしは少し緊張したが、徐々にリラックスし、順調にザイルをのばす。細かくは忘れたが、7ピッチほどでCフェースの頭に到着したと思う。取付から約200メートルのザイルピッチだ。

 この後、Aフェースも登攀したと思うが、記憶が定かでない。核心部分については、この程度の報告しかできないのが何とも残念だ。山行報告書を保存していれば、もう少し詳細な報告ができるのだが、今となっては致し方ない。八ッ峰と源次郎尾根の登攀も計画していたが、登ったかどうか忘れてしまった。

 その後、僕らはBCに一泊後、翌日は黒部川河岸にテントを張り、河川でヤマメ(岩魚だったかもしれない)を4〜5匹捕まえて、皆で舌鼓を打った。このヤマメの捕り方が面白いのだ。普通なら釣り竿で釣るのだが、そんな道具は持ち合わせていない。

 僕らは、黒部川河岸の所々に水たまりができているのを発見した。上流の黒部ダムの放流により、たまたま出来たものだった。その水たまりに魚がうごめくのを見つけたのだ。たぶん、放流停止後に逃げ遅れ、水たまりの中に取り残された魚達だ。そして、悪戦苦闘の末、4〜5匹のヤマメを捕まえたのだった。

 捕まえる時、少々、かわいそうな気もしたが、食欲のほうが勝っていたので、結局は胃袋の中に納めてしまった。

 また、幕営地の近くには手頃なオーバーハングの岩があり、遊び半分だったが、ここで登攀練習などもして、思い思いの一日を過ごした。

 なお、老婆心ながら申し上げておくが、黒部ダム下流の河岸で幕営する場合は、ダムの放流により河川の水位が大きく変わることがあるので、十分注意されたい。

 こうして、八ッ峰Y峰の登攀は、充実した中、終了したのだった。

◆編集後記◆

 この山行に同行した1年後輩のS君は、とても気の合う好青年であったが、その後、30才の若さで交通事故によりこの世を去ってしまった。彼とは何度も山行を伴にし、辛かったこと、楽しかったことなど、様々な思い出がある。ただただ冥福を祈るばかりだ。
八ッ峰Y峰
Y峰Cフェースをトップで登る私
Y峰Cフェース上部(登ってくるのは先輩Yさん)
Y峰Cフェースの頭にて一服(右端が私)
Y峰ピークより三ノ窓方面を望む
黒四ダムの下流にて
剣岳ってどこにあるの?
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