2001年3月3日 作成
南アルプス 白峰三山縦走
1972(S47)年11月2日(夜)〜5日
白峰三山断面図
11月2日 曇り 立川 21:29〜(電車)〜甲府 23:20/23:30〜(タクシー)〜広河原着 0:55 消灯 01:10
11月3日 曇り 起床 04:50 出発 06:30〜白根御池小屋 09:40/10:15〜稜線出合 13:30/14:00〜肩の小屋テント場着 15:00 消灯 19:45 (幕営)
11月4日 雪のち晴れ 起床 03:00〜出発 0700〜北岳(3192m) 07:48/08:15〜北岳稜線小屋通過 09:30〜間ノ岳(3189m)通過 13:20〜農鳥稜線小屋着 14:25 消灯 19:10 (幕営)
11月5日 晴れ 起床 03:00 出発 06:30〜農鳥岳(3026m) 07:07〜大門沢下降点 07:40/07:50〜大門沢小屋 09:40/10:13〜奈良田バス停 13:25/14:35〜(バス)〜身延 17:00/18:27〜立川 22:20 解散
メンバー: 山口(CL)、沖(SL)、渡辺、中満、村山、黒川
会費(交通費/食料費): \3,600/一人 ※山行計画書&報告書有り
肩の小屋付近より北岳バットレスを望む
この1年半後に写真左側の稜(第四尾根)を登攀することになる 少し飛び出している岩峰が第四尾根の「マッチ箱のコル」だ
 南アルプスの白峰(白根とも書かれる)三山とは、北岳(3192m)、間ノ岳(3189m)および農鳥岳(3025m)の3つの高峰を差している。特に、北岳は富士山につぐ日本第二位の高峰であり、登山者の憧憬の的となっている。

 11月ともなれば、三千メートル級の山は冬の様相を見せる。僕らは、厳冬期を目前にしたこの三山に、2泊3日の予定で挑むことになった。女性1名を含む総勢6名での挑戦だ。

 中央線の甲府駅よりタクシーをチャーターして、広河原まで向かう。夏には広河原まで定期バスが通っているが、冬には終日運休となる。ここで朝までの仮眠をとる。そして、夜明けと共にいよいよ行動開始だ。広河原の標高は約1500mで、ここから、北岳山頂(3192m)に向かって、一気に標高差1700mほどを登ることになる。標準で約7〜8時間ほどの所要だが、健脚者であってもこの登りはきつい。

 ここ北岳の東側斜面には「バットレス」と呼ばれる垂直に切り立つ大岩壁が有り、その雄姿は 小太郎尾根の稜線上からも見ることができる。ここには、「中央稜」と呼ばれる有名な登攀ルートがあるが、そこは垂直に切り立った岩壁が数百メートルの高さに渡って続いている場所で、極めて難易度の高い登攀ルートである。

 今回の我々の山行は縦走である。稜線上より、このバットレスの雄大な姿を満喫しながら、初日の幕営予定地である肩の小屋にたどり着く。到着した頃には小雪が舞い始めており、周りは一面白銀の世界に包まれていた。早々、持参した冬用テントを張って潜り込む。幕営したこの場所の標高は約三千メートルで、羽毛のシュラフに潜り込んでいるとはいえ、さすがに凍り付くような寒さだ。

 周りの気配にふと目が覚め、テント内から外を見ると、まだ雪が舞っている。しばらくテント内で様子を伺うことにする。しばらくすると、外はみるみる間に晴れ渡ってきた。あわてて出発の準備に取りかかる。山では夜明け前に出来るだけ早く出発するのが常識だ。この日は天候の回復を待っていたので、出発が少々遅れ、7時にテント場を後にする。北岳山頂へは1時間ほどの登りである。1ピッチで、北岳山頂に到着する。

 少し横道にそれるが、前述した「ピッチ」とは、休まずに行動する単位を言う。我が山岳会では、縦走の場合、1ピッチの標準を30分間としていた。即ち、30分間歩いたら5分ないし10分の休憩で、後はこの繰り返しである。もちろん、1ピッチの時間や休憩の長さは、その時々の状況で変わる。会の山行は団体行動なので、ピッチの途中で一人疲れたからといって、勝手には休めないし、そういう弱音を吐く者もいない。弱音を吐けば脱落を意味するので、リーダーが休憩と言うまではひたすら歩くのである。そういう意味では、「軍隊の行軍」に似ているのかもしれない。

 また、山ではちょっとした判断ミスが生死に繋がるといったこともある。それを回避するには、どんな状況に置かれても、常に冷静な判断ができるようにしておかなければならない。その為には、厳しさを学ぶことも必要だし、時にはあえて自分を追い込んで自分の限界を知ることも必要だ。

 僕は、この山行で生まれて初めて日本第二の高峰に立つことができた。もちろん、一般の観光客が来るところではないので、華やかさはないが、山頂にそびえる木製の道標の素朴さが凄く印象的だった。また、雲海というものも初めて見ることができた。大雲海の彼方にそびえる富士山も素晴らしかった。カラー画像でご紹介できないのが断念である。

 北岳に登頂後、間ノ岳に向けて縦走を開始する。ここからは比較的なだらかな稜線だ。5時間ほどで間ノ岳山頂(3189m)に到着し、さらに1時間ほどで農鳥岳稜線小屋に到着した。今日はここで幕営とする。

 翌日は1ピッチで農鳥岳山頂に達し、ここより30分ほど下ったところに大門沢下降点という場所があり、ここから下山を開始する。下降点より2時間ほどで大門沢小屋に到着し、さらに3時間歩いて、奈良田の部落に到着する。ここよりバスで身延駅まで出て、一路家路についた。
初日は雪が降る中、北岳肩の小屋にて幕営する
日本第二の高峰 北岳(3192m)であることを示す道標 (背後は中央アルプス)
稜線上より雲海に浮かぶ富士山を望む
間ノ岳付近を農鳥岳に向かう
下山途中、大門沢小屋付近にて
(向かって左端が私)
白峰三山ってどこにあるの?
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