福島第一原発の事故に関連して・・・
2011年4月16日
福島第一原発の事故により、避難を余儀なくされている方々のご心労は如何ばかりかと、何もできない私ですが、大変心配しています。チェルノブイリの原発事故と同じレベル7に指定された未曾有のこの事故・・・、もちろん、早期に放射能の放出を封じ込め、収束に向かって欲しいと、ただただ願うばかりです。

さて、最近の原発事故関連のニュースを拝見していると、とても気になることがありますので、警鐘の意味も込め、以下、その内容を記述しておくことにします。

■組織犯罪・・・?

ある行政機関のホームページにこんなことが書かれています。

「今回の事故を受け、放射線の量を測定する可搬型モニタリングポストを、3月13日以降、xxx市などに設置して観測を行っており、その数値は、3月16日正午現在、最大15マイクロシーベルト(0.015ミリシーベルト)/時間程度となっております。この値は、通常時に比べますと約300倍となっておりますが、胸部レントゲン撮影時(0.05ミリシーベルト)の3分の1程度のレベルであり、健康には全く影響はありません。 この0.015ミリシーベルトがどの程度のレベルなのかということにつきまして、身近な事例と比べてみますと、日本人が1年間に自然界から受ける放射線の量(1.48ミリシーベルト)の100分の1程度となっており、非常に小さいレベルであることがお分かりいただけると思います。」

なんて恐ろしい記事なんだ・・・(驚愕)。毎時(1時間当たり)の値と総量を同じ次元で比較し、健康にはまったく影響無しと結論付けている。デタラメな論理です。この内容を公開しているのは、個人ではなく行政機関です。

毎時15μSvを仮に1年間被曝すると、15μSv/hr x 24時間 x 365日 = 131,400μSv = 131.4mSvになります。福島第一原発で必至に働くエンジニアの方々の年間の被曝総量の限度が100mSvです(苦笑)。年間で131.4mSvが何で安全だと断言できるのでしょう?  この国、ほんとうに恐ろしい方向に向かっていると、つくづく感じます。

■水道水に含まれる放射線量

水道水に含まれる放射性ヨウ素、放射性セシウムの日本の基準値は、なぜか、3月17日を境に、恐ろしく甘くなったことをご存じですか? 考えたくないけど、測定したけど、そのまま公表できない値だったので、公表する前に基準値を甘くした・・・そう思わざるを得ない時系列です。以下の値は水1L中に含有する量です。(以下の数値の単位はBq/L、1リットルあたりのベクレル値です。)

日本の水道水の放射線基準値
 放射性ヨウ素(I-137)
 3月17日を境に、10ベクレル⇒300ベクレル 
  ※いきなり30倍に甘くなった! 
 放射性セシウム(Cs-137)
 3月17日を境に、10ベクレル⇒200ベクレル 
  ※いきなり20倍に甘くなった!  

世界の水道水の放射線基準値
 WHO基準 ⇒ 1ベクレル
 ドイツ基準 ⇒ 0.5ベクレル
 米国基準 ⇒ 0.111ベクレル

以上でお判りのように、日本の今の基準値は、放射性ヨウ素の場合、WHO基準の300倍、米国の3000倍の値だ! WHO基準を無視した行為です。WHO基準の300倍が安全というのであれば、その根拠を数値を持って説明してほしいし、それが行政の責任だ。こういう責任も果たさずに、安全だ、安全だ、と結論ばかりを連呼して、はたして誰が信じるのだろうか?

■ついに心配していたことが・・・

福島第一原発で、自分の命をかけ、賢明に作業をしている技術者の方々には、ほんとうに頭が下がります。この人達の命がけの作業なくして、この原発事故の終息はありえません。

放射線被曝総量の限度である100mSvを超えた技術者が何人も出てきた。国は彼らの基準値を250mSvに引き上げ、さらなる作業を指示したようだが・・・。 

被曝総量が250mSv・・・、一定の確率で死亡、あるいは白血病などの放射線障害を発症する恐れのあるレベルです。死ねと言っているに等しい。

この事故を押さえ込めるのは、こういう現場を熟知したエンジニアの方々か、あるいは米仏の専門家チーム位しか無いだろうと思っている。が、頼みの綱の一つである日本のエンジニア達の健康が限界に近づいている。 

良くTVに出てきて「安全だ、安全だ」と連呼しているどこかの大学の御用教授や、にわか専門家、こんな連中、今のこの状況では糞の役にもたたない。こんなことを、漠然と考えていたら、正直、寒気がしてきた。

下図は米エネルギー省が公表している放射線量の分布図です。米軍はこういうデータを収集する為に、危険もかえりみずに数百時間のフライトを行っています。さて、日本政府は我々にどんな客観性のあるデータを示してくれたのでしょうか?

図中、mR(ミリレントゲン)からμSv(マイクロシーベルト)への変換値は、私が追記したものなので誤りがあるかもしれません。そのつもりでご覧下さい。
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