◆◆ 謎のアカニシ ◆◆
2001年3月10日
◆◆ 2001年1月25日 ◆◆
 このアカニシは、我が家の息子(小5)が、通っている小学校の校舎裏庭から拾ってきたものです。何故そんなところにアカニシが落ちていたのか、今のところその理由は全くわかりません。気になるのは、これを拾ったところは、少し前に校舎改築が行われ、基礎工事の為に地面を深く掘り返した場所のようです。ひょっとすると、工事中に地中から出土したものを、工事関係者の方が何気なく捨てたものかもしれません。仮にそうだとすると、その場所は新生代第四紀の成田層の地層だった可能性もありますので、学校の先生に相談して少し調べて見ようかと思います。

 拾ってきたこのアカニシは、あえてクリーニングを施していません。観察して見て少し気になるのは、アカニシの内部に砂などが詰まっておらず、比較的綺麗な状態であるということです。成田層から産出する同種の化石は、私の知る限りでは一般に内部に当時の砂などが詰まって産出します。従って、このアカニシは化石であるとしても、既に人の手が加わった後で、拾得場所に投棄されたものかもしれません。ただ、学校の裏庭などに化石を捨てる人がいるのか・・・と考えると、何とも悩んでしまいます。
アカニシ 殻高:12.6cm、殻径:11cm (1月23日拾得)
◆◆ 2001年2月3日 ◆◆
 2月3日に学校に行き、アカニシを拾った付近や、校庭の様子を調べてみました。アカニシを拾った付近には、少しですが貝の破片が散乱していました。また、付近の校庭を見回したところ、かなり広範囲な場所で次のような貝の破片も拾うことができました。その中には、成田層から産出する絶滅種である「ブラウンイシカゲガイ」と「キオロシアサリ」が含まれていました。従って、これらは何れも成田層から産出した新生代第四紀更新世の貝化石であると判断されます。

 何故、学校の校庭に成田層の貝化石が散乱しているのか、正確なところはわかりませんが、おそらく、外部より持ち込まれた土砂の中に、これらの化石が含まれていたのではないかと思われます。学校の敷地内の地層から産出したのであれば、大変興味深いことなのですが、井戸ポンプ室の工事現場が既に埋め戻されてしまっていますので、今となっては確認することができません。
ビノスガイの断片
写真左上:高さ57mm
ミルクイの水管部付近の断片
高さ60mm 幅54mm
タマキガイの断片
写真下:幅41mm
上:ブラウンイシカゲガイの断片(絶滅種)
下:アカガイの断片(幅36mm)
アサリ
殻長32mm、殻高22mm 比=0.68
エゾタマガイ
左:殻高29mm、殻径24mm
アカニシを拾った場所(写真中央の建物は校内に新設された災害非常用井戸ポンプ室)
少しだが、この周りに貝化石の断片が散乱していた。