2006年9月16日 (23日加筆) |
||
ミッションをAT->TYPE-R 5MTへ換装 (ファイナル⇒4.235) Vol. 28 |
||
今の車輌を入手して約9ヶ月が過ぎました。その間、サーキットを利用してのドライビングスクールなどに幾度か参加する機会を得ました。私の車はオートマチック・トランスミッションなので、ドライビングは楽なのですが、サーキット走行時はどうしてもモタモタ感が否めません。また、ギアシフト操作の楽しさも味わえません。やはり、マニュアル・トランスミッションで、この車の本来のパフォーマンスを楽しみたい・・・、そんな思いが沸々とわいてきてしまいました。 その為、車輌の買い替えも考えましたが、昨年暮れのNSX生産終了に伴って、中古市場の価格高騰などで、おいそれとは買い替えられなくなってしまいました。また、最近では状態の良いMT車があまり出回ってきませんし、愛車をいじっているうちに、それなりの愛着も湧いてきてしまいました。そこで、悩んだ末、最終的にはマニュアルミッションに載せ換えることにしました。 さて、MT換装をどこにお願いするかですが、NSXのMT換装では数々の実績のある、東京都武蔵村山市にある「KSP Engineering」さんにお願いすることにしました。まずはKSPさんに出向いて打合せです。KSPのチューナーで、かつ自身もNSXのオーナーであるTYIZさんに換装のアドバイスを受けました。一概に換装といっても色んな次元のモノがあることがわかりました。すべて新品のパーツからミッションを組んで仕上げる6速MT化から、中古ミッション流用による換装まで様々です。どのメニューで換装するかで、ドライビングの楽しさもかなり変わるようです。最終的には、オーナーが車に何を求めているか、それと予算との兼ね合いで換装内容を決めることになります。 私の場合は、KSPさんで換装の相談をさせて頂いていた時、たまたま、前期TYPE-Rの5速ミッションを下ろした方がおりまして、そのミッションが売りに出ていました。6速化換装の為に下ろしたそうです。ちなみに、このRミッションの中古品が市場に出回ることは滅多に無いそうです。車自体、日本に数百台しか存在しないので、そりゃそうでしょうね。ということで、素性のはっきりしているこのミッションを譲り受けて換装することにしました。 念のため、ミッションはKSPさんでオーバーホールしてもらいました。ベアリング系とシンクロリングは全て新品に交換し、3速と4速ギアも念のため新品に交換しました。これでミッションはほぼ新品に近い状態です。なお、ミッションのみの換装では、完全にMT車と同じ性能になる訳ではありません。AT車とMT車ではカムが異なるそうなので、できればカム交換も同時に行ったほうが良いのですが、予算的なこともあり、今回は見送りました。AT用カムのままであっても、6000回転まではMT車とほぼ同じリニアなパワー特性を示すそうです。ですから、少なくとも街乗りではまったく問題ありませんし、スポーツ走行時であっても、私の場合、6000回転以上回すことは滅多にありませんので、とりあえずはこの状態で楽しむことにしました。まずはミッション換装の違いを体感し、物足りなさを感じたら、その時点で考えることにします。 ミッションの載せ換えはエンジンを下ろして行います。その他に、コンピュータ(ECU)のROM書き換え、クラッチペダルの追加、ブレーキペダルの交換、シフトレバーの交換、タコメータの交換等々、多岐に渡りますが、事前に準備しておいてもらえば、正味4日ほどの作業で完了するそうです。私の場合は、同時に後期ABSへの換装や、シート交換、リアハーネスバーの取付、ブレーキパッドの交換など、モロモロの作業をお願いしてましたので、2週間ほど通しで預けました。あ〜、出来上がるのが、ほんと、待ち遠しかった・・・です。 インプレッション 休日にKSPさんに車を取りに行きました。必要な手続きを済ませ、さて、いよいよ愛車に乗り込む時がきました。フルバケに体を潜り込ませ、ギアがニュートラルになっていることを確認し、エンジンスタート。年甲斐も無くドキドキしちゃいました。数回、空ぶかしをしてみます。ウム〜、ATの時よりはレスが良い感じです。KSPのTYIZさんとメカニックのOさんにお礼を行って、いよいよ帰路につきます。圏央道の入間ICから高速に入りました。ここから70km程は高速道路を走ります。本線に合流しながら3速、4速、5速とシフトアップしてみます。凄く小気味の良い感じで、あっという間に高速域へ導いてくれます。NSXのギアチェンジストロークは40mm、操作ストロークも130mmと短いので、チェンジ操作が凄く小気味良いです。でも、シフトチェンジレバー系のワイヤーが新しいので、まだ少々重い感じがしますが、それでもメチャ気持ちの良い操作感で、エンジンもガンガン回ります。少し走るうちに、昨年まで乗っていたS2000の6MTの感覚が少し戻ってきました。でも、調子に乗って事故っちゃうとシャレになりませんので、はやる心を抑えつつ、スピードは控えめに自重しながら帰ってきました(笑)。 一口にNSXといっても色んな仕様があります。主な6つのタイプのNSXのギア比を調べてみましたので、その結果を下表に示します。(間違っている部分があったらご指摘下さい。)この表のうち、TYPE-R 5MTとCOUPE 5MTを比較してみると、1〜5速のギア比は両者とも全く同じです。違いはFINAL DRIVEN GEARのギア比だけです。(もう少し正確にいうとLSDも違うようですが詳しいことは知りません。) 今回のMT換装では愛車にTYPE-R 5MTのミッションを載せましたので、愛車は表の一番左側ということになります。COUPE 5MTとTYPE-R 5MTのFINALの違いを体感できると良いのですが、ATからTYPE-R 5MTへのいきなりの換装ですので、残念ながら体感できません。
FINALのギア比の相違はどのような効果をもたらすのかということですが、一定速度で走行した場合を考えると、比が小さければそれだけエンジン回転数が下がり、比が大きければエンジン回転数が上がるということになります。例えば、TYPE-R 5MTとCOUPE 5MTで、ギアを5速にして100km/hで定速走行した場合、それぞれのエンジン回転数は、TYPE-R 5MTが約2,700(rpm)、COUPE 5MTが約2,550(rpm)になります。エンジンの回転数が高いということは、より大きなパワーが伝達される訳ですので、TYPE-R 5MTのほうが、加速性能を重視したスポーティな車に仕上げられているということが言えます。その分、高速走行での静音性は犠牲になります。 COUPEとTYPE-RのFINALギア比の差はわずか4%程ですが、得られるドライビング感覚はかなり違うようです。また、TYPE-R 5MTの5速ギアで、パワーピークの7300(rpm)まで回すと、その時の車速は約270km/hという計算になります。こりゃ凄い! でも、国内の一般道ではもちろん確認できませんし、サーキットでもこういう超高速で走行できる機会はまずありません。 今回、換装して頂いたKSPさんでは、6MT+KSPファイナル4.4&LSD仕様というファイナルのギア比を変更するチューニング・メニューがあります。これは値段が少々張りますが、資金を投じるだけのメリットはあるようで、換装した方の話では走りがメチャ楽しくなるらしいです。僕も何れはこれに変えたいな〜って漠然と思っていますが、先立つものが・・・。でも、その前にカム交換かな? オートマの時は、その性質柄、高回転域までエンジンを回すことはほとんどありませんでしたが、MT車だとあっという間に高回転域まで回っちゃいますので、特に公道では自制心が要求されます。加速感もAT車とは異質な感じで、なんか別の車に乗っているような錯覚さえ覚えました。やっぱ、僕はこっちのほうが断然楽しいです。明後日、もてぎの北ショートコースを走る予定なので、細かなインプレはまた改めてご紹介したいと思います。
|
Back | ||||