2006年8月26日
ステアリング・ホイールを交換
Vol. 27
交換前の純正ステアリング・ホイール
(SRSエアバッグ&クルーズコントロール付)
 スポーツ走行では今ひとつ馴染まない今のエアバッグ付のステアリング・ホイールを、前期TYPE-Rの純正品(イタリアMOMO製)に交換することにしました。交換作業は専門ショップに頼むつもりでしたが、経費節減の為、自分で挑戦してみることにします。

 SRSエアバッグ付きのステアリング・ホイールをR純正品に交換する場合は、ステアリング・ボスが必須です。このボスと、ステアリング・ホイール、ホーンボタン、ネジ等は、全て純正品を新品で購入しました。
 まず最初に、作業中のエアバッグ暴発を防ぐ為、大元のバッテリー端子を外す必要があります。NSXのバッテリーはフロントのボンネットの中にあります。空気の入っていないスペアタイヤを外すとバッテリーが見えてきます。まず、マイナス側の端子を外します。その後、プラス側の端子を外します。この順番を逆にすると、プラス側の端子を外す際、レンチ等の金属部分がフレームに接触しショートすることがあるので、外す順番は必ず守りましょう。

 イグニッションキーをオンにし、電源が来ていないことを確認し、ステアリング・ホイールを直進状態にセットします。
まずはバッテリー端子を外す
メンテナンス・リッド
 さて、ここからが作業の本番です。メンテナンス・マニュアル等があるとベストですが、入手できていないので、あらかじめネット等で情報収集を行い、可能な情報を入手し、これなら自分でもできそうだ・・・という感触を得た上での作業です。

 まず、ステアリングホイール左下のメンテナンス・リッドを外します。(ネジx2本) 
 外したメンテナンス・リッドの裏側に、赤いショート・カプラがありますので、これを外します。
ショート・カプラ
エアバッグ側にショートカプラを付ける
 エアバッグとケーブルリール間の接続を外し、ショートカプラをエアバッグ側に取り付けます。(静電気による暴発防止用です。)
 クルーズ・コントロール・スイッチのカバーを外します。すると、エアバックを留めているトルクスボルト(いじり止め付ヘクスローブ)が見えてきますので、トルクスビットを使ってボルトを外します。メンテナンス・リッド側のトルクスボルトも外します。(ネジロック処理がされているので、緩めるには少し力が要ります。)

 これでエアバッグは手前に外れる筈です。


トルクスボルト
クルーズ・コントロール・スイッチのカバーを
外した状態(トルクスボルトが見える)
取り外したエアバッグ・アセンブリ
 左が取り外したエアバッグ・アセンブリです。爆弾処理班のような心境で、慎重に取り外しました。(爆)

 保管はホンダのHマークを上にします。逆さまに保管していると、万が一、暴発した時、エアバッグの衝撃の反動で、アセンブリそのものが4メートルほど宙に飛び上がるそうですので危険です。

 こんな爆弾、どこに保管しておこうかな・・・(爆)。なんか薄気味が悪い・・・です。
 ホーンスイッチとクルーズコントロールの各々のカプラの接続を外します。(右の写真の青の矢印のコネクタ)

 次に、エアバッグ・カプラをクランプから外します。
エアバッグを外した状態
ステアリングホイールのナットを外す
 さて、いよいよステアリングホイールを外します。軸のナットを十字レンチを使って外します。十字レンチを反時計方向に回してナットをゆるめますが、同時にステアリングホイールが回ってしまいます。一人で作業していたので、ちょっと苦労しました。二人いれば、一人がステアリング・ホイールを固定していて、もう一人がナットをゆるめる役をすれば簡単でしょう。
 ようやく、ステアリングホイールが外れました。ここまでの作業で、なんだかんだで2時間ほどかかってしまいました。

取り外したステアリング・ホイール
ケーブルリールユニット
 この時点で、車輌側にケーブルリールユニットが残ります。普通なら、これで取り外し作業は完了なんですが、R純正ボスを取り付ける場合、このケーブルリールユニットのケーブル引き出し用カプラが邪魔になって取り付けられません。カプラだけを取り外しケーブルを上手く引き出せれば、ケーブルユニットは残したままボスが付くかもしれません。そうすれば、クルーズコントロールやホーンの接点と配線がそのまま使えます。このように改造している方も居るようですが、僕はクルーズコントロールは使うつもりもないので、ケーブルリールユニット自体を取り外してしまうことにしました。

 簡単に取れると思ったのですが、どっこい、これがなかなかの曲者です。取り外すには下のカバーと上のカバーを順番に外す必要があります。下のカバーは簡単に取り外しできますが、上のカバーを外すのは少し厄介です。ハーネスを固定しているバンドも切らなければなりません。
 面倒だったので、下のカバーだけを外し、強引にドライバーを突っ込んで外しちゃいました(爆)。また、このケーブルはステアリングの軸に沿ってかなり頑丈に取り付けられていますので、すべてを外すのに1時間位かかっちゃいました。

 右の写真が取り外したケーブルリールユニットです。ハーネス先端の6極カプラは切断してしまったので、写真には写っていません。
取り外したケーブルリールユニット
これで取り外し作業は完了
 これで、取り外し作業は完了です。いや〜、3時間もかかっちゃいました。

 さて、ここからは取付作業になりますが、その前に、ある部品を自作しなければなりません。というのは、R純正ボスのホーン用電極は、ボス裏側の導電面で相手側のコンタクト・プレートと接触する構造となっています。エアバッグ搭載モデルには、当然、このコンタクトプレートがありませんので、自作する必要があるという訳です。

 純正品の購入や、別の車種のモノが流用できるかもしれませんが、それも面倒なので、造ることにしました。
 近くのホームセンターにステンレス板を買いに行ったのですが、あいにく見あたらず、代わりに右の写真にあるお好み焼き用の「起こし返し」を買ってきました。ステンレス製です。先端の1mm厚の部分を切り出して、コンタクト・プレートを作ることにします。

 これで僕の愛車は、「起こし返しNSX」になってしまいます(爆)。
お好み焼き用の起こし返し
自作のコンタクト・プレート(青の矢印)
を装着した様子
 金切りバサミでカットしたのですが、1mm厚のステンレスってメチャクチャ堅いですね。製作するのに1時間ほどかかっちゃいました。

 形状は、ボスの裏側の構造を見ながら、直感で造りました(爆)。取り付けは、ケーブルリールユニットが取り付けられていた向かって右側の穴x2ヶ所を利用します。取り付ける際、ネジ止め部分(下段)にリード線を共締めしておきます。(左の画像の赤い線がそれです。)

 一旦、仮留めし、ボスを差し込んで見て、接点の接触状態を確認します。(下の画像)
 ボス導電面へのプレートのテンション(圧力)は、あまりかかり過ぎず、弱すぎず、ま、このあたりも直感でセットしました。こんなんで、ほんとうにホーン鳴るのかな?

 時間があったら、もう少し丁寧なモノを造ろうかと思っています。とりあえず、急場しのぎということで・・・。

 接触状態の調整が終わったら、一旦、ボスを外し、コンタクト・プレートと接触するボス導電面にグリースを塗ります。
コンタクトプレートとステアリングボスの
接触の様子
ボスを組み入れたところ
 グリースは導電性のモノでないとダメなのかな〜? って結構悩みましたが、お店にそんなモノは見あたらなかったので、一番安い「万能グリース」というのを買ってきて、これもエイヤーで塗っちゃいました(爆)。

 再びボスを組み込んだら、十字レンチを使ってホイールナットを締め付けます。これが緩んじゃうと、結構やばいことになるかも・・・と想像しながら、残ったパワー全開(と言っても、ほとんど使い果たしてますが)で締め付けます。
 先程、コンタクト・プレートを付けた際に共締めした赤い電線の先を、ホーンの回路に接続しなければなりません。サービスマニュアルも回路図も無い状態なので、取り外したハーネスとステアリング・ホイールの配線をテスターで調べ、ホーンの電極を探し出しました。右の写真は、取り外したケーブルアセンブリのカプラ先端部分で、フラットケーブルで繋がっていましたが、ハサミでぶった切って、ここに電線を強引に半田付け。補強用に要らなくなったカードを切って差し込んで、ここをビニルテープで巻き付けて、次に電線を折り返して、再度、ビニルテープでグルグル巻きにしました。

 フラットケーブルを切った後、「あ! しまった。ホーンのリードは反対(メス)側のカプラのリードに接続させれば切らずに済んだのに・・・」と、気付きましたが後の祭りです。(爆)

 
注)取り外したエアバッグの端子をテスターのリード等で導通チェックするのは絶対に止めましょう! 導通チェックとはいえ、エアバッグにはテスターから微少電流が流れますので、もしかすると暴発するかもしれません。たいへん危険です。
ケーブルリールユニットから切断したカプラへ
ホーンの配線をする。同時に下表での4番と6番の端子をショートして、SRS警告灯の点灯をキャンセルをする
1 ホーン用
2 クルーズコントロール用
3  "
4 SRSエアバッグ用
5  "
6  "
この表は上の写真に対応してます
ホーンの配線
 こんなんで本当に鳴るのかな? この時点ではまったく自信なし・・・です。手元にサービスマニュアルでもあったら、もう少し自信を持って作業できるのですが・・・。

 それから、SRSエアバッグを外してしまいましたので、このままだとSRS警告灯が点灯しっぱなしになります。これを消す為に、上の写真と表で示した6ピンハーネスの4番と6番をショートさせます。これでSRSエアバッグ警告灯は消えます。

 もし、このウェブを読んで改造を試みる方が居たとしたら、それはあくまで自己責任でやって下さいね。内容に誤りがあるかもしれませんし、万が一、それが原因で貴方の車に何が起ころうと、もちろん、僕は一切関知しませんので・・・。
 さて、ここまでくれば作業もほぼ終了です。いや〜、もう夕方の4時半です。朝の10時頃から始めたので、なんだかんだで6時間も悪戦苦闘してます。あ〜、疲れた〜。

 最後の気力を振り絞って、R純正ステアリングを組み込みます。この辺りの作業は、今までの苦労を考えれば、いたって簡単。順番に組み込みながら六角ナットを締めるだけです。組み終わって、遠巻きに眺めてみると・・・、オー! 結構、格好良いじゃん!(自己満足ですいません。)

 最初に外したバッテリーの端子を元に戻します。まずはプラス側を接続し、続けてマイナス側を・・・。と、ここで突然、カーセキュリティのけたたましい警報音が目の前のスピーカから・・・。いや〜、心臓止まるかと思いました。(爆)
作業はすべて完了、正面からは
こんな感じです。ウム〜、なかなかスポーティ
ですね。
軽くなったし、握った時のフィット感も最高です
 さて、イグニッションキーを差し(差さなくても鳴るんですが、一応、儀式なので・・・爆)、いよいよ、ホーンボタンの動作確認です。小心者なので結構ドキドキします。多分、鳴らないだろうな〜と、半分諦め状態で、でも反面、期待もしつつ、恐る恐るボタンを押してみると・・・、一発で鳴りました。やった〜! 感激! それにしても凄い音です。あれ〜? ひょっとして、この車を買ってからホーンって一度も鳴らしたことが無いかもしれません。初めて聞いたかも・・・(爆)。

 ステアリング・ホイールを少し回してみて、再び押してみると、またまた鳴ります。ンモ〜、バッチリです(自画自賛)。 これで作業は完了です。

 それにしても、エアバッグ付のステアリング・ホイールは結構な重量です。取り外して持ち上げてみると良く判りますが、ズッシリときます。その点、交換したR純正品は、デザイン、感触、操作性、ともに一級品で、軽快な操作が可能です。

以上、6時間半の孤軍奮闘でした。
 PS1) 任意車両保険のエアバッグ割引を適用している場合は、運転する前にその旨を保険屋さんに連絡しましょう。(後日、連絡したけど、最近ではエアバッグ搭載が普通になったので、その割引制度はもうありません。エアバッグが有っても無くても保険料は同じです・・・って言われちゃいました。)

 PS2) 換装後、試走してみました。ストレートを走行してみると、あれ〜? ステアリングホイールがまっすぐになってません。あ〜あ、やっぱ、やっちゃいました(爆)。あわてて引き返し、ステアリングナットを外し、ステアリングを1ピッチ分ずらして再セットし再び試走。ウムウム、今度はストレートでもステアリングが正対してます。これでOKです。

 それにしても、パワステ付とはいえ、今まではなんて重いステアリングだろう、パワステ壊れているんじゃないの? って、ズ〜っと思ってました。友人の02Rを運転した際も、パワステ付いていないこっちのほうが軽いじゃん! なんで〜? って思ってました。今回の交換後、ステアリング操作はメッチャ軽くなりました。やっぱ、エアバッグ付きのステアリングホイールが重すぎたんですね。今は軽快そのものです。やっぱ、スポーツカーはこれじゃないと・・・ね。
ホーン
六角のネジまでこだわって、純正を
取り寄せちゃいました・・・(笑)
Made in Italy
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