2001年4月14日 作成 | ||
北アルプス 後立山連峰縦走 (夏期合宿) |
1973(S48)年8月1日(夜)~5日 |
8月1日 | 雨 | 新宿発22:20~(アルプス9号) |
8月2日 | 曇り | 白馬 05:14/05:41~(バス)~猿倉 06:10/07:30~村営頂上ホテル通過 13:30~キャンプ地着 13:53 消灯 20:30 (幕営) |
8月3日 | 曇りのち雨 | 起床 03:00 キャンプ地発 05:43~不帰キレット 10:12~唐松岳(2696m) 0:58~五竜山荘キャンプ地 15:43 消灯 20:15 (幕営) |
8月4日 | 曇り | 起床 04:10 キャンプ地発 06:00~五竜岳(2814m) 06:52/07:00~キレット小屋通過 10:00~鹿島槍ヶ岳北峰(2889m) 11:32/12:20~布引岳通過 13:37~冷池キャンプ地着 14:07 消灯19:55 (幕営) |
8月5日 | 晴れ | 起床 04:20 キャンプ地発 05:56~種池山荘 07:50~柏原新道入口 09:52/10:26~(タクシー)~信濃大町 10:50/12:30 (現地解散) |
メンバー: 杉谷(CL)、山口(SL)、渡辺、半田、中満、黒川、竹内、真辺 | ||
会費(交通費/食料費): \6,000/一人 ※山行計画書&報告書有り | ||
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昨年の夏は北アルプスの表銀座を縦走した。二年目の今年は後立山連峰を縦走することになった。猿倉から白馬大雪渓を登り、白馬岳から針ノ木岳までを縦走し、扇沢に下る長いルートだ。総勢8名での合宿となった。 このルートは、終始、3000メートル近くの稜線上を縦走する為、基本的に水場が少なく、所々にある山小屋で高価な水を買わなければならない。そこで、僕らは知恵をしぼって、なるべく水を使わなくて済むように、持参する米をあらかじめ水でといでいくことにした。こうしておけば、少なくとも米をとぐ水は節約できるはずだ。 山行に出発する1週間前の日曜日に、すべての米を水でといで、5日間ほど部屋の中で乾かしてから、各食毎にビニールパック詰めにして持参したのだ。なかなかの妙案だと誰しもが考えていたのだが、このことが、後でとんでもない事態になろうとは・・・。 猿倉のバス停は登山者でごった返していた。皆そうであろうが、ここまで来て、通勤ラッシュのような思いは、ごめん被りたいものだ。ここから、白馬の大雪渓の登りだ。猿倉から稜線までは、おおよそ6時間近くの登りである。この白馬の大雪渓の登りは多少心配していたが、既に何度か冬山を経験していたこともあってか、難なく登ることができた。そうこうしているうちに、ほどなく稜線上に到着した。この日は稜線上にある村営山荘近くのキャンプ地で幕営する。 テントを張り、さっそく夕食の支度に取りかかる。一食分毎にパックしてきた米を取りコッフェルに入れ、水を適量注いでラジウスで炊いた。既に米はといできているので、確かに便利だ。と、ここまでは快調だった。しかし、時間が経つと共にテントの中に異様な臭いが充満しだしたのだ。最初は何の臭いかわからなかったが、皆で調べるうちに、その臭いは、炊いているコッフェルの中から発していることがわかった。その臭いとは、甘酒のような、日本酒のような、いわゆる、そういう臭いなのだ。原因は直ぐにわかった。洗ってきた米が発酵し始めていたのだった。あわてて、4日分の米を確認したが、皆、状態は同じだった。何てことだ。でも、他に主食など持ってきている訳もないので、食べない訳にはいかない。皆、我慢して流し込んだ。こうして、我がパーティーはこれからの4日間をこの糀(こうじ)のような米と戦うことになってしまった。 この事件以後、僕の6年間の山行では、米を洗ってから持参するということは一度もなかったのである。 その後、唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳と、縦走は予定通り順調に進んだが、例の米のおかげで、唯一の楽しみも消え失せてしまい、今一、すっきりしない山行になってしまったのである。また、縦走路では、終始、濃いガスがたちこめていた為、アルプスの雄大な景色もほとんど目にすることも出来なかった。爺ヶ岳まで来たところで、あまりに天気が悪いので、このまま針木岳まで縦走するか、ここから下山するかを皆で相談し、結局は種池山荘より下山することになった。 このコースには、鹿島槍ヶ岳近くに八峰キレットという難所がある。縦走路の脇は断崖絶壁になっており、過って転落すればひとたまりもない。時々、事故が発生する所だ。この八峰キレットに僕らが差し掛かった時、崖の上にちょこんと腰をかけている中年の人がいた。何をしているんだろうと思いつつも、ここを慎重に通過していると、その人からいきなり罵声が飛んできたのである。正確な言葉は忘れたが、「気をつけろ!」というような表現だったと思う。注意されたというよりは、高圧的に怒鳴りつけられたという感じだった。「ただ慎重に通過しようとしているだけなのに、この野郎、何を言っているんだ」という心境だった。この人の近くを通過した時、腕につけた腕章をみて、山岳警備隊員だということがわかった。悪気はないにせよ、危険な所を慎重に通過しようとしている登山者に、いきなり罵声を浴びせるとは・・・。下手をすると逆効果にもなりかねない。もう少し考えてから行動してもらいたいものだ。僕はしばらく気分を害して歩いていたのだった。 この夏山合宿は、米が原因でとんだ山行になってしまったが、今となっては懐かしい山行の一つである。 |
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