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谷川岳山頂(トマノ耳)にて |
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春になり、5月合宿の飯豊連峰縦走を控え、トレーニングがてら、谷川岳に出向くことになった。今回は、土合より西黒尾根を登り、谷川岳を経て万太郎山までを縦走する計画だ。一日でこのコースを制覇するのはかなり強行軍であるが、トレーニングの意味もあり、かつ、参加者が男子4名だけということもあって、あえてこのコース設定で挑むことになった。
土合駅に到着後、休まずに登山指導センターまで行き、ここで朝食をとる。この日の朝食用に半生うどんを持参してきたのだが、どうも匂いが変だ。腐りかけの匂いだ。かと言って、食べない訳にもいかず、全員、意を決して口に運ぶ。全員、胃腸薬を飲んで出発する。とんだ出だしで、先が思いやられる。
途中、朝食のうどんの影響で、皆キジ撃ちに忙しかった。それでも、僕らは順調に登り、指導センターから4時間の所要で谷川岳山頂に到着する。この日の天候は写真でおわかりのように快晴だった。
谷川岳山頂で小休止した後、万太郎山に向けて縦走を開始する。4月といっても、山の上はまだ冬の様相だ。ただ、昼間はなると雪が解けて緩んでくるので、極めて歩きづらくなる。靴にはアイゼンを装着しているが、この解けた雪がアイゼンの歯の間に付着し、靴が高下駄のようになってしまうのである。だから、面倒でもピッケルなどで時々この雪を払い落とさなければならないのだ。
谷川岳より万太郎山までは約3時間半の所要だ。途中、大障子避難小屋で小休止する。万太郎山は思っていたよりものっぺりとした山だった。ここからは土樽に向かって約4時間の長い下りが待っている。出発してから既に10時間ほど経過しているので、若いとはいえ結構辛い。のんびりしていると日没前に下山できなくなってしまうので、全員気合いを入れ直して吾策新道をひたすら下る。(吾策新道は、谷川連峰越後側の登山道開拓に尽力された故高波吾策氏の名をとって銘々されている。)
15時50分に土樽駅に到着した。出発してから実に12時間の行動で、皆の顔にもさすがに疲れの表情が見えていた。帰りの車中では、タフなルートを制覇した心地良さを感じながら、僕はいつしか眠りについていた。 |