2001年5月12日 作成
故郷の山 本宮山
1973(S48)年1月
本宮山山頂にて朝日を浴びる(タイマー撮影)
 1月の終わりに、僕は山の道具を一式持参して実家に帰った。それは我が故郷にそびえる本宮山(ほんぐうさん)という標高789メートルの山に登る為だった。

 この山は僕が山を始めるきっかけとなった原点かもしれない山だ。ここには僕が幼少の頃より、父に連れられて良く登っていた。そして、高校を卒業する頃まで、のべ30回ほどは登ったと思うが、いずれも日帰りの山登りだった。そこで、是非一度一泊二日の登山をしてみようと思い立ったのだった。

 この頃、既に頂上までは「本宮山スカイライン」という有料道路が開通していた為、麓から登る人などほとんどいなくなってしまっていたが、僕はあえて麓から登り始めた。思い出の詰まった懐かしい道を、色々な思いに浸りながら、一人黙々と登っていった。そして、麓から3時間ほどで山頂に到着した。この山の山頂には多くのテレビ中継塔などが建設されている為、お世辞にも良い景観とはいえないし、見晴らしも大して良くはないのだが、僕にとっては幼少の頃からの思い出が詰まった山なのだ。

 頂上から少し下った雑木林の中に、持参したツェルトを張って一夜を明かすことにした。標高の低い山とはいえ、1月だったので結構寒かった。夕食もそこそこにシュラフに潜り込んだのだが、夜、鹿の鳴き声が良く聞こえてきた。猛獣ではないので心配することはないのだが、野生の鹿なのでひょっとして襲われるのではないかと、夜通し肝を冷やしていたのであった。この鹿の一件で、自分の小心者さをあらためて知ることになり、やはり山は友達と一緒に登ろう・・・と、自分自身を慰めながら、そそくさと山を下りてきたのだった。
本宮山からの故郷の景色
本宮山ってどこにあるの?
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