北海道の旅(道中記) | 2002年8月22日更新 | ||
8月4日(第4日目) | |||
|
|||
備考) *マークの画像はデジタルカメラで撮影したものであることを表します。 | |||
|
カラスの鳴き声で朝の4時には起こされる。車中から覗くと、すぐ近くのゴミ箱の上で4匹のカラスが威勢良く鳴いている。あまりのうるささに車から飛び出して追い払ってやった。車の外気温計を見ると12℃だった。寒〜い。昨夜は誰もいないところでの車中泊だったのでかなり心細かったが、不思議なもんで、そんな不安も夜が明けてしまうと何処かへ吹き飛んでしまう。洗面所で歯磨きをして納沙布岬へ向かう。 5時には納沙布岬へ着いてしまう。本土最東端の地だ。岬の駐車場には釣り人の車が数台停まっていたが、それ以外は人っ子一人いなかった。こんな時間なので当たり前だ。ここに来た大きな目的は、岬から北方領土を眺めることにあったが、あいにくの曇り空で、その望みは叶わなかった。残念だが仕方ない。20分ほど景色を楽しんだ後、納沙布岬を後にする。 44号線で厚床まで出て、ここから243号線で北上し、途中から244号線、続いて335号線に入り、海岸沿いを知床に向かう。朝早いこともあってか交通量も少なく、左右の樹林の中を爽快に進む。と、突然、目の前に何かの物体が目に入ったので、あわてて急ブレーキをかける。良く見ると、鹿の親子が道路の真ん中で立ち止まっていた。幸い気がついたので事なきを得たが、危うく跳ね飛ばす所だった。 思い返してみると、先ほどの鹿の親子は最初から道路の真ん中にいたようだった。あまりに爽快なドライブだったので、前方への注意力が散漫になっていたようだ。そういえば、いたるところに動物注意の道路標識があるではないか。気をつけよう。気を引き締めなおして先へと向かう。 羅臼(らうす)町に入る手前で、早めに2回目の給油をする。燃費を計算するとリッター当たり12kmも走っていた。普段の通勤ではせいぜい7km位なのに。8時頃、羅臼町に到着する。最初にマッカウス洞窟を訪れる。何でも先住民族が住んでいた洞窟だそうで、この中には珍しいヒカリゴケが自生している。見る角度により部分的にエメラルドグリーンに蛍光するのだ。なかなか神秘的な光景だった。 その後、知床半島の根室海峡側の最奥部にある相泊温泉まで足を延ばす。ガイドブックで紹介されていた通り、海岸には露天風呂があった。入浴は無料だ。タオル片手に早々湯に浸かる。先客が4人ほどいたので、挨拶をしてしばし旅行談義をする。ここの露天風呂はブルーシートで覆われているので、お世辞にも良い景観とは言えないが、その分、水着などを着ける必要もないので、気持ちよくくつろげた。この地に詳しい人の話では、この辺りは海岸を掘るだけで、温泉が湧き出てくるらしい。何とも不思議な場所だ。試しにお湯をなめてみたが塩っぱかった。 昨夜風呂に入れなかった分まで堪能し、清々しい気分で9時頃に知床峠へと向かう。知床峠の標高は740mで、ここから見る羅臼岳の眺めを楽しみにしていた。しかし、僕が着いた時、峠周辺は深い霧に包まれており、その願いは叶わなかった。残念だ。期待も込めて少し粘ったが、好天の兆しもないので、知床五湖方面に下ることにした。 峠を下っていると、時折、霧の中から山肌が顔を覗かせる。おや?っと思っていると、右前方の霧の中から大きな山が現れた。羅臼岳だ。この山を見るのは初めてだったが、それが羅臼岳であることは直ぐにわかった。途中で車を停め、その雄姿をカメラにおさめた。 知床の斜里(しゃり)町に降り立つと、峠の向こうとはうって変わって青空が広がっていた。気温も高く20℃位だった。峠をはさんでこうも天気が違うとは。何か得をしたような気分だった。こんな良い天気なら、ここに来て知床五湖に行かない手はない。早速、五湖に車を走らせる。この道中、北海道に来て初めてセミの鳴き声を耳にする。 五湖は五つの独立した湖から成り、時計回りに第一湖から第五湖まで番号で呼ばれている。1時間ほどかけて五湖をゆっくり散策するつもりだったが、ヒグマが出没したとの理由から、第三〜第五の湖は立入禁止になっていた。それでも、一湖と二湖の美しい姿を堪能することができた。 一時間ほどかけて五湖で楽しんだ後、今度は船で知床岬へ行ってみることにする。岬への観光船は宇登呂(ウトロ)という港から出ている。実は、襟裳岬の宿に泊まった時、居合わせた旅行者から、知床の観光船に乗るなら、少し高いが大型観光船よりも小型の高速クルーザーに乗ることを勧められていた。理由は、船上からヒグマを発見した時、小型クルーザーは直ぐに岸に近づいてくれ、ヒグマを間近で見ることができるからと教えられていた。 僕はこのアドバイスを素直に聞いて、高速クルーザーへの乗船を申し込んだ。料金は8千円、所要時間は3時間である。お昼時だったので、近くのお店で千円のイクラ丼弁当を買いこみ、船上で食べることにした。カメラのフィルムが足りなくなるといけないと思い、慌てて車までフィルムを取りに戻る。 ■イクラ丼紛失事件 12時10分、35名ほどの客を乗せたクルーザーが出航する。景色もそこそこに、まずは腹ごしらえだ。買い込んだイクラ丼を船上で食べることにする。船上で知床半島を眺めながらイクラ丼を食べる・・・。何て贅沢な振る舞いなんだろう。一人ニンマリしながら、イクラ丼を取り出そうと手元のバックに手を入れる。あれ?イクラ丼がない。いくら(ダジャレじゃないです)探してもない。いや待て、落ち着け。どこかにあるはずだ。でも、僕の期待に反して、いくら探してもイクラ丼は出てこなかった。ガ〜ン!周りの客に冷静を装いつつ、じっくりと思い出してみる。そういえば、フィルムをとりに車に戻った時、イクラ丼は手にしていたはずだ。それが無いということは、イクラ丼は車のトランクの中・・・。トホホ・・・、何とも間抜けな自分の行為に思わず苦笑してしまった。その腹いせ代わりに、たまたま持ち合わせていたアーモンドチョコを一気に食べまくったのであった。(爆) 気を取り直して、僕は景色を楽しむことにした。といっても、そのショックは凄いもので、しばらくは尾を引いておりました。(爆) 途中、カムイワッカの滝などを見て、知床岬へと船を進めていると、クルーの一人が岸にヒグマがいると教えてくれる。目を凝らしてみないとわからない距離だ。クルーザーが岸へと近づくにつれ、肉眼でもヒグマが確認できた。高速クルーザーへの乗船を勧めてくれたのはこういうことなのだ。遠巻きながら、初めて見る野生のヒグマに感動した。でも、山に登っている時は万が一にも出会いたくない相手だ。(爆) 知床岬に近づくにつれ、手つかずの自然が目の前に広がってくる。今でも岬までの道路はなく、船のみがここへくる唯一の交通手段だ。この素晴らしい自然は後世まで残しておきたいものだ。岬から国後島が見えることを期待していたが、遠方は霞がかかっており、結局は見えず仕舞いだった。でも、知床岬まで来ることができただけでも嬉しかった。 岬から帰る途中、船のクルーがしきりにエンジンルームを覗いている。そういえば、先ほどから船には変な振動があり、あまりスピードが出ていないようだ。心配になって尋ねると、船のスクリューに漂流物が絡まってしまったようだという。この結果、僕が乗ったのは高速クルーザーだったのだが、帰りは大型客船なみの低速クルーザーと化していた。このトラブルのお陰で、3時間の所要のところを、何と3時間40分も費やしてしまう。まあ、その分ゆっくりと景色も見ることができたので妙に納得してしまう。それにしても腹が減った。(爆) 下船後、車のトランクを開けると、恨めしきイクラ丼はすっかりと茹で上がっていた。(爆) 腹痛を起こすといけないので、この恨めしきイクラ丼は泣く泣く廃棄処分に処した。 ウトロを後にし、斜里町市街へ向かう途中、オシンコシンの滝を見物する。なかなか雄大な滝だ。そして、17時30分頃に宿に到着した。明日はいよいよ斜里岳に登る日だ。天気予報を聞くが、あまりかんばしくない。明日の好天を祈りながら床についた。 |
||||
|
|||||
|
|||||
|
|||||
|
|||||
|
|||||
|
|||||
|
|||||
|
|||||
|
|||||
|
|||||
|
|||||
|
|||||
|
道中記のトップへ |