北海道の旅(道中記) | 2002年8月22日更新 | ||
8月3日(第3日目) | |||
|
|||
備考) *マークの画像はデジタルカメラで撮影したものであることを表します。 | |||
|
しまった! 目が覚めたら既に朝の5時だった。日の出を見損なう。それでも岬の様子を見に外に出る。うわ〜、寒い。気温を調べたら13℃だった。8月だというのに何という気温だろう。 空は曇っていて太陽は見えない。この天気では、予定通りに起きていたとしても、きっと日の出は見えなかっただろう・・・などと一人納得し岬の海岸へと降りていった。 まだ5時過ぎだというのに、海岸はコンブ漁の漁師であふれていた。岸から目と鼻の先の海で小舟からコンブを採り、それを直ぐに岸に上げる。岸ではあがったコンブをトラックに乗せ、干場まで運んで直ぐに干す。見ているとこの作業を何回も繰り返している。結構大変な作業だ。 岬のすぐ下の家では、一家総出でコンブを干していた。見れば小学生ほどの子供も一生懸命手伝っている。最初、僕は声をかけようと思っていたのだが、真剣に働く表情を見ていたら、声もかけづらくなってしまい、結局はただ眺めているだけだった。 この地の冬は厳しそうだ。きっと今が稼ぎ時なのだろう。一家総出で一生懸命働く姿をみて、その光景を観光として見ている自分の姿が、なにやら恥ずかしくさえ感じた。一家全員で生活を支えているのだ。何か家族の原点を見たような気がした。 宿に戻って早めに朝食をとる。早起きして食べる食事は格別に美味しかった。食堂の脇をふと見ると、三脚に固定された望遠鏡が海のほうに向かって固定されているではないか。何だろうと思って女将さんに尋ねると、ゼニガタアザラシのウォッチングをする為だという。エ!そんなものがいるの? 恥ずかしながら僕の勉強不足だった。 聞けば、ゼニガタアザラシは北海道東部海岸の岩場に一年を通じて生息しており、北海道全体で約800頭が確認されているそうだ。そして、そのうち約400頭がこの襟裳岬の岩礁付近で暮らしているそうだ。早速、望遠鏡を覗いてみた。オー! 数十頭のゼニガタアザラシが岩礁の上で寝そべっているではないか。僕は思わぬ出来事に大感激してしまった。 食事を終え、アザラシの姿をカメラにおさめようと、持参していた300ミリのズームレンズで覗いてみたが、やはりこの程度のズームレンズでは無理のようだ。岸からだと20倍以上の倍率の望遠鏡でないと見えないようだ。 7時40分に宿を後にする。今日は根室まで行く計画だ。真っ直ぐに行っても400kmほど走らねばならないので、少し強行軍だったが、前後の予定も考えると仕方なかった。 国道336号線を浦幌町まで北上し、そこから国道38号線で釧路へ向かう。それにしても、所々に気が遠くなるような直線道路があり、このスケールの大きさに、僕は思わず車を停めてシャッターを押してしまう。途中、忠類村でナウマン象の化石発掘地を訪れたが、記念碑が建っているだけだった。近くに記念館があるらしいが、先の行程も長いので訪問はあきらめる。 釧路市内に入ったところで、一端国道38号線を外れて北上することにした。せっかく釧路にきたのだから「釧路湿原」を見ない手はない。ここの湿原は半端な広さではない。研究不足もあって何処に行って良いのやら迷ったが、地図とガイドブックを頼りに、国道391号線を北上し、塘路(とうろ)という場所に向かうことにした。塘路からコッタロ湿原という場所に入ったが、ここへの道路は舗装されておらず、僕の愛車はすっかり真っ白になってしまった。コッタロ湿原への途中、道端で用を足していると、蚊のような変な虫の大群に襲われ、あわてて車に逃げ込んだが、何ヶ所か刺されてしまった。 広い湿原地帯なので道路を走っているだけではそのスケールさえわからない。どこか高台に登らねば・・・とウロウロしていると、塘路にサルボ展望台という場所があるのを見つけた。早速登ってみると、オー、見える見える、これが釧路湿原か〜。一人で感激する。曇っていたので景色は今一だったが、晴れていたらさぞや絶景なんだろう。 しばし湿原で遊んだ後、塘路から釧路へは戻らずに、ショートカットして上尾幌に抜け、ここから44号線を東進する。厚岸で44号線を外れ、海岸線づたいに霧多布岬へ向かう。霧多布にも湿原があり、時間があれば、ゆっくり見学したいところだが、天候が悪いことと時間もないので、車窓に映る景色のみを味わいながら、浜中町へと向かう。 途中、有名なムツゴロウ王国に立ち寄ったが、ここにある王国は既に一般開放していないことを把握していた為、門の外から少し眺めた程度で先を急ぐことにした。 この日、先を急ぐには一つの理由があった。それは、浜中町近くで化石採集をする計画をしていたのだ。あらかじめ道内在住の友人に産地の場所は聞いていたので、その場所は直ぐにわかった。現地に到着したのが15時30分、この時間ではじっくりと採集する訳にもいかないが、それでも17時まで1時間半ほど粘って、アンモナイトの化石らしきものを数点見つけた。こんなに簡単にアンモナイトが採れるなんて僕の地元では考えられない。やっぱり北海道は凄い。雨も降り出してきた17時頃に切り上げ、後ろ髪を引かれる思いでこの産地を後にする。 後は根室に向かうだけだ。海岸線沿いの快適な道を、清々しい気持ちで快調に走った。根室に近づくにつれ、海岸線の景観も一種独特の雰囲気となる。それにしても、海岸線の緑が芝生のように映り、何ともいえず良い景観だ。僕はこういう景色が大好きだ。 欲張った一日だったので、根室への途中で日没を迎えてしまう。今日は車中泊の予定なのでどこまで行かねばならないというのはないが、今日の目標は納沙布岬にしている。でも、時間も時間なので岬へ行く前に、根室市内で腹ごしらえだ。駅前を散策したが、手頃な食堂も見あたらず、路地で見つけたラーメン屋に入る。ラーメンに半ライスを注文すると、何故かイカの塩辛、タコの塩辛、サンマの燻製など、6品ほどが一緒に出てきてビックリする。聞けば、サービスで出しているとのこと。嬉しい限りだが、とても食べきれない。でも、折角だから一通り味わわせてもらった。僕にはサンマの燻製が特に美味しかった。 さて、腹ごしらえも終えたので、暗闇の中、納沙布岬へと車を走らせる。闇夜の納沙布岬には人影はなく、ここで車中泊と決めていたが、気味が悪いので場所を変更することにした。一旦、根室方面へ戻り、北方原生花園という場所があったので、ここの駐車場を今日のねぐらとする。 ここの花園は広い草原の中にポツンとあるだけで、周りには民家もない。人影がまったくないので、やっぱり薄気味が悪い。こういう場所では、オバケよりも変な人間に取り囲まれるほうが怖い。どうしようかと迷ったが、意を決してねぐらとする。車窓を紙でふさぐと、なぜか少し落ち着いてきた。ドアロックを確認し、お酒をガバッと飲んで、酔いに任せて21時には早々と眠り込んだ。 |
||||
|
|||||
|
|||||
|
|||||
|
|||||
|
|||||
|
|||||
|
|||||
|
道中記のトップへ |