ハインリッヒ・ヘルツ(独、1857〜1894年)が、1888年に電波の存在を初めて実証しました。ですから、電波を発見したのはヘルツということになっています。しかし、彼の実験からさかのぼること24年、1864年にマクスウェル(英、1831〜1879年)は、電磁波方程式をたて、光と電磁波の波動が同じであることを証明しています。ヘルツはこのマクスウェルの「光の電磁波論」を確認するために実験を行ったものです。ですから、電磁波の存在を示唆したのはマクスウェルで、実際に実験で証明してみせたのがヘルツということになります。
では、ヘルツはどのような装置で電磁波の存在を確認したのでしょうか。図1に示すように、彼は誘導コイルを使って高い電圧を作り、それを火花間隙に導いて火花放電を発生させました。これが電波を出す送信側です。そして、ここからある離れた所に電波を受信するコイル(共振器)を置きました。このコイルの根もとにも間隙があり、誘導コイル側で発生した火花放電により発生した電磁波が空間を伝わって、受信側のコイルに誘起し、その間隙に火花放電を起こさせるというものでした。
ヘルツはこの実験で、電波を発生する間隙(放射器)に対して、受信側のコイル(共振器)の向きを変えたり、距離を変えたりして、放射器から発生しているものが光と同じように横波であり、偏り(偏波という)を持っていることを確認した。また、反射したり屈折することも確認している。なお、周波数の単位であるヘルツ(Hz)は、彼の名前をとって付けられています。 |