Vol. No. 18 | 2003.01.18 upload | |
真空管ってなあに? | ||
半導体の出現により、真空管にお目にかかる機会はめっきり少なくなってしまいましたが、ラジオや音響製品の普及と発展は、この真空管無しには語れません。 ■真空管は誰が発明したの? あの有名なエジソンが白熱電球を発明したのは皆さん良くご存じだと思います。エジソンは発明した電球の中が黒く汚れるのを防ぐ為、フィラメントの近くに金属板(プレート)を入れたものを作りました。これが2極真空管の基本だったのですが、彼はこの大発明に気が付きませんでした。1883年の出来事です。その後、マルコーニ無線電信会社の顧問であったジョン・フレミングが、エジソン効果を応用して1904年に2極真空管を発明するに至りました。 ■真空管の原理 真空中で物質を高温に加熱すると、物質内の電子は熱エネルギーを得て、その物質表面より放出されるという性質があります。これは熱電子放射現象と呼ばれており、真空管のほとんどはこの現象を利用 して作られています。 図1−1で示すように、プレートと呼ばれる金属板にプラス、カソードと呼ばれる金属板がマイナスになるように電圧を加えてヒーターを加熱しますと、ヒーターで加熱されたカソードから熱電子が放射します。電子はマイナスの電気(電荷)を持っていますので、プラス側のプレートに向かって移動し、その結果、プレートからカソードに向かって電流が流れます。次に、図1−2のようにプレートとカソードに加わる電圧の極性を逆にすると、放射したマイナスの電子は、同じマイナスの電気が加えられているプレートにはじき返されてしまい、電流は流れなくなります。即ち、プレートがプラス、カソードがマイナスの時だけ電流が流れる訳です。これがフレミングが最初に発明した2極真空管と呼ばれるもので、この効果を利用して、交流から直流を取り出したり(整流作用)、 高周波に含まれる音声信号だけを取り出す (検波作用)目的で利用されていました。
その後、1906年にアメリカのフォレストがカソードとプレートの間にグリッドと呼ばれる第三の電極を加えたものを考案しました。この真空管のカソードがプラス、グリッドがマイナスになるように電圧をかけます。すると、カソードから放射された電子はグリッドによりはじき返されますが、一部の電子はグリッドをすり抜けてプレートに到達し、プレートからカソードに向かって少しだけ電流が流れます。フォレストは、グリッドとカソードに加える電圧をわずかに変化させると、プレートからカソードに流れる電流が大きく変化する性質があることを発見したのです。即ち、増幅作用があるということです。この真空管は3極真空管と呼ばれ、増幅作用を利用して、音声信号や高周波信号の増幅に広く用いられるようになりました。
ちなみに、初期の真空管は直熱型真空管と呼ばれ、カソードは無く、且つ、フィラメントの電源に直流の電池を使っていました。これですと、直ぐに電池が無くなってしまうという大きな欠点がありました。この欠点を克服する為に、交流の電源を使う試みが行われました。しかし、フィラメントに交流電源を使うとブーンというハム音が発生して実用になりませんでした。これを解決する為に、フィラメントを囲むカソードと呼ばれる新たな電極を追加したものが考案されました。これは傍熱型真空管と呼ばれ、実用真空管の登場となった訳です。その後、4極、5極、6極、7極と他極真空管が次々に考案されていきますが、基本原理はいずれも同じと考えて良いでしょう。
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