Vol. No. 14 2002.03.02 upload
どうして病院の中で携帯電話を使ってはいけないの?
 ご存じのように、携帯電話は電磁波(電波)を利用して通信を行います。いわゆる無線送受信機でありますので、通話中、携帯電話のアンテナからは電磁波が発射されています。

 皆さんの中には、オートバイなどが近くを通った時、ラジオからノイズが聞こえてきたという経験をされた方もいるかと思います。これはオートバイの点火装置により発生した火花ノイズが電磁波となり、ラジオの受信機に妨害を与えているということです。でも、耳障りな音は聞こえてきますが、一過性のものであれば、それほど深刻な状況にはなりません。

 ところが、妨害ノイズが原因でラジオが誤作動したり故障してしまうとしたら、穏やかな話ではなくなります。ラジオに限らず、電気電子機器の多くは、このような電磁ノイズが浸入したとしても、誤作動を起こさないように設計されています。でも、それにも限度があります。

 機器が強い電磁波にさらされると、誤作動や故障を起こす可能性があります。特に、病院内で使用する生命維持に関わる機器の誤作動は大変深刻な問題となり、最悪の場合、患者さんの命にかかわる重大な問題となります。

 このような状況を防ぐ為、病院内での携帯電話の使用は禁止されているというわけです。また、病院に限らず、電車の中でも携帯電話は使用すべきではありません。それは単にマナーの問題だけではなく、ペースメーカを装着した方へ深刻な驚異を与えます。仮にペースメーカが誤作動すると、その方にとっては命にかかわる深刻な問題となります。

 最近では飛行機内での携帯電話の使用も禁止されています。理由はおおむね同じです。携帯電話が発する電磁波が原因で、航行計器が誤作動すると、これも状況次第では生命にかかわる深刻な結果を引き起こしかねません。

 友人からこんな話を聞いたことがあります。航空機内で携帯電話を使用しているある女性を注意したところ、彼女からは「この電話は向こうからかかってきたんです。」との返答があったそうです。ようするに、その人は相手からかかってきた電話については自分の携帯電話から電波は発射されない・・・と、大きな誤解をしていたのです。電話がかかってこようがこちらからかけようが、通話中はその携帯電話から電波は発射されています。携帯電話を使用する人は、少なくともこの位のことは理解しておいて頂きたい思いですが、こういうことを知らしめるのは、その携帯電話を販売し利益を上げている企業の社会的責務ではないでしょうか?

 電波環境協議会(EMCC)のホームページ
戻る