Vol. No. 11 2002.02.03 upload
鉱石ラジオを作ってみよう
 最近になって年甲斐もなく鉱石ラジオの魅力に取り付かれまして(爆)、休みを利用して作ってみました。一言で鉱石ラジオといっても様々な回路があるのですが、ここでは比較的簡単に出来て、かつ、それなりに聞くことができるシンプルなものをご紹介します。

 図1にその回路を、写真1に外観をそれぞれ示します。コイルは直径0.3mmのエナメル線(20m)を買ってきて、アルミホイールの芯を利用して巻きました。その際、上部に竹串を入れて巻いています。巻いた後でこの突起の部分を紙ヤスリでこすって絶縁をはがします。バリコンは290pFのポリ・バリコンを使いました。それにゲルマニウム・ダイオード(1N60)とクリスタル・イヤホンも用意します。これらは秋葉原などで入手できます。

 木の板をラジオの土台にして、回路の接続ポイントには画鋲を使いました。画鋲は半田付けができるので便利です。検波器にゲルマニウム・ダイオードを使ったものはゲルマニウムラジオであって鉱石ラジオとは言えませんので、ダイオードに代わる鉱石を使った検波器も同時に作りました。写真1の下に拡大写真を示します。鉱石には方鉛鉱を使い、あらかじめ画鋲の上に半田を溶かしておいて、ここに方鉛鉱を乗せ、固まるまで待ちます。次に細い電線を使って、ボールペンの芯などを利用してスプリング状にし、鉱石に当てる電線の先を尖らせます。これで簡単な鉱石検波器が完成です。 

図1 自作したゲルマニウム・ラジオの回路

写真1 自作したゲルマニウム・ラジオの外観

 鉱石ラジオができたところで、いよいよ、動くかどうかのテストです。家の外に長さ2mほどの電線を張って、アンテナ入力端子に接続します。まずはゲルマニウム・ダイオードを使ってラジオの動作確認をしますので、方鉛鉱を使った検波器は回路を切り離しておきます。ポリ・バリコンを中央にセットし、アンテナからの線をコイルの突起に当て、一番良く聞こえるところを探し、その場所でセロハンテープなどで線を固定します。次にバリコンを回して選局します。

 実はこの時点で当初は何も聞こえませんでした。何でだろう?と色々と試行錯誤しましたが、最終的にはアースを取っていなかったことが原因でした。感度の良い大きなアンテナを使えばアースなど取らなくてもそれなりに聞こえると思いますが、数メートルの単なる電線では、きちっとアースを取らないとダメです。ということで、急きょ、電気屋さんに足を運んでアース棒を購入し、これを庭に打ち込んで、きちっとアースを取りました。電池もない簡単な回路だけでラジオ放送が聞こえてくるというのは何とも不思議な感じでワクワクします。

 さて、ゲルマニウム・ダイオードを使ってラジオが聞こえることを確認したら、次にダイオードの回路を切って、先ほど自作した鉱石検波器で試してみます。先ほどダイオードで聞いていたバリコンの位置をそのままにしておきます。イヤホンで音を聞きながら、針の先端を鉱石の表面に当て、場所や当てる強さを調整しながら、ラジオが聞こえる状態を探ります。これがなかなか大変なのですが、今回製作した方鉛鉱を使った簡単な検波器でも、一応、AM放送を聞くことができました。鉱物そのものでラジオが聴けるなんて、何とも不思議な感じです。

 皆さんも是非ためしてみませんか? 童心にかえったようでなかなか楽しいですよ。なお、本ページの内容だけで製作するのは難しいかもしれません。様々な解説本がでていますので、それらを参考にされると良いでしょう。私からの個人的なお薦め本を紹介しておきます。(少し高いですがこれ一冊あれば鉱石ラジオの歴史から製作、原理まですべて理解できる密度の濃い内容の本です。)

 ・ぼくらの鉱石ラジオ 小林健二著
  筑摩書房 定価(本体価格3300円+税)
  ISBN4-480-86045-2 C0055
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