Vol. No. 1 | 2001.11.24 upload | |
そもそも電波ってなあに? | ||
最初から一番難しいテーマになってしまいました。というのは、身の回りのことを例に上げて簡単に説明しますと「誤解」を生じる恐れがあり、かといって、専門用語を並べて説明すると難解になってしまいます。この「設問」にどう答えたら良いか、正直かなり悩みました。という訳で、まず言い訳を少しして、自分なりに解説してみたいと思います。 ■音波 私達の身の回りには様々な「音」が存在します。「音」は波の一種なので「音波」と言います。音波は空気の分子が振動することで伝わることは良く知られています。実際、私達はこの音波を耳で聞くことができますし、太鼓が振動している様を目で見ることができますので、その存在と伝達メカニズムは比較的容易に理解できます。なお、音波は空気中の分子を媒体として伝わりますので、空気の無い真空中では音は伝わりません。 ■電波(電磁波) 電波(以後、電磁波と呼びます)は残念ながら人間の目では見えませんし、耳で聞くこともできません。ですから、電磁波とは何か、その説明を聞いても、実際に体感できないので大変判りづらいです。時に、「私は電磁波が見える」と主張する人がいるようですが、真偽のほどは定かではありませんし、科学的にも立証されてはいません。ほんとうに見えるとすれば、それは凄いことです。 かつて、19世紀の終わりに、音波と同じ考えに基づいて、電磁波は真空中の「エーテル」というモノを媒体として伝わるという説に基づき、その存在を裏付ける試みがされましたが、ことごとく失敗に終わりました。ようするに、エーテルという媒体は存在しませんでした。 電磁波とは何か、簡単にいうと、空間を走る電磁気の流れのことです。といってもわかりにくいので、もう少し具体的にいうと、電気と磁気がお互いをつくり合いながら空間を波状に進んでいく流れを言います。絵で表すと下図のようなイメージになります。池の真ん中に石ころを落とした時に、そこを中心として周りに波が広がりますが、感じとしてはこの池の波に似ています。 この中で電気が力を及ぼす空間を「電界」、磁気が力を及ぼす空間を「磁界」と言い、この電界と磁界がお互いに影響を及ぼしながら空間を進むのが、いわゆる「電磁波」です。 身近なところで説明しますと、例えば、鉄の釘に電線を巻いて電気を通すと、釘は磁石になります。いわゆる電磁石であり、電気(電界)が磁気(磁界)をつくったことになります。また、電線をらせん状に巻いたコイルの中に磁石を差し込んだり抜いたりすると、そのコイルには電流(電気)が発生します。いわゆる発電機の仕組みであり、磁気(磁界)の変化が電気(電界)をつくったことになります。このように電気(電界)と磁気(磁界)はたいへん深い関係にあります。 なお、電磁波は音波のように、何かを媒体として伝わる訳ではありませんので、空気の無い真空中(宇宙空間など)でも伝わります。 ■波長と周波数 下図のように、電磁波は波を描いて進みます。一つの波の長さを波長と言い、単位はメートルで表します。また、1秒間にいくつの波を描くかを周波数と言い、単位はヘルツ(Hz)で表します。また、電波も光と同じ電磁波の1種ですので、真空中では1秒間に約30万キロメートル進むことがわかっています。(正確には299,792,458mです。) 例えば、波長が5メートルの電磁波の場合、その周波数は次の式から計算して求めます。 300,000,000 m/s 周波数 = --------------- = 60,000,000 Hz = 60 MHz 5 m 上記のように、波長5メートルの電磁波の周波数は6千万ヘルツです。これでは扱いにくいので、一般にはSI単位の接頭語(下図参照)というのを使って「60MHz」と表します。
また、身近な放送局(無線)の周波数の波長を計算してみると次のようになります。(放送局は無作為に選んでいます。)このように、AM放送の波長は大変長く、TV、携帯電話、BS放送になるにしたがって、その波長が短くなっていることがわかります。
■電磁波の種類 電磁波は波長の長さから、大きく分けて次の3種類に分類されています。この中で電波はその周波数が3000GHz(1秒間に3兆回の振動)以下のものを指します。上の表に示した放送局などの無線は、すべて下表の3)の「電波」に分類されています。
以上が「電波ってなあに」に対する説明です。あまりうまく解説できませんが、何となくお判り頂けたでしょうか? |
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